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現金にも「マイナス金利」が付く時、貨幣は死ぬ。そして人類史上最悪の恐慌が訪れる…「物価の権威」渡辺努氏の最終講義に徹底反論・番外編①

手持ちの現金が少しずつ目減りしていく世界(写真:Bloomberg)
物価研究の権威である渡辺努氏が、東京大学大学院経済学研究科で行った「最終講義」に対し、旧知の仲である小幡績氏が徹底反論するシリーズの番外編。
最終講義の概要を小幡流にレポートした上編、「デフレより円安が罪深い」と反論した中編、金融政策の影響をめぐる根本的な違いを掘り下げた後編でいったん幕を閉じたが、積み残しとなっていたのが「現金(日銀券)にマイナス金利を付ける」という渡辺氏の提起だ。
*2025年5月30日7:00まで無料の会員登録で全文をお読みいただけます。それ以降は有料会員限定となります。
渡辺努先生は、貨幣を殺そうとしている。
すなわち、彼は、現金もマイナス金利とすることができるようにしようとしている。しかし、それは貨幣を殺し、経済を破壊する。私はそう考える。
渡辺先生への最大の反論は、決して金利をマイナスにしてはいけない、ということだ。
彼の主張は、金融政策において最も重要なことは、マネーの金利をマイナスにもできるようにすること、ゼロ金利制約を金融からとっぱらうことである。
そして、その最後の難関は現金である。
異次元緩和の敗因=現金?
つまり、マネーという貨幣の半分に関する金利である超短期金融市場の金利(翌日物コールレート)、中央銀行預け金(日銀当座預金への付利)、これらをマイナスにすることは実現したが、現金が、マイナス金利包囲網から抜け落ちていたために、マイナス金利政策、異次元緩和政策は失敗した。
したがって、金融政策の未来は、現金の金利をマイナスにすることで一気に開ける、ゼロ金利を挟んだ非対称性が解消され、金融、経済における最大の歪みが解消される、そのように渡辺先生は考え、強く主張している。
しかし、これは、経済を破壊する最大の犯罪である。異次元緩和の比ではない。
なぜなら、それは貨幣を殺すことになるからである。
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