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【解剖MMT③】リフレ「失敗の原因」を突く正しさ 日銀はそもそも「貨幣を大量供給」できない

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財政赤字は心配無用、インフレがひどくならない限りは――。そんな主張が数年前から賛否双方の議論を呼んできた。
MMT(現代貨幣理論)。それは、主流経済学を覆す真理なのか、はたまた荒唐無稽なトンデモ論か。見極めるうえでは、貨幣の話と財政の話が絡み合ったMMTの論理を丁寧に腑分けする必要がある。
「解剖」のメスならぬ筆をとったのは、財政史と金融論を横断して研究してきた伊藤修・埼玉大学名誉教授。全7回にわたる論考をお届けする。
※2024年3月1日(金曜)6:00までは無料で全文をご覧いただけます

貨幣についての一般理論は第2回で確認したが、具体的に使われる貨幣は時代によって変わる。

現代においては現金(中央銀行券と硬貨)および銀行預金である。貨幣量の統計の対象もそうなっている。現金は当然として、なぜ預金が貨幣なのか。この点もMMTの財政論につながっている。

なぜ預金が貨幣なのか。

簡単にいえば、預金でも物を買うからである。すぐ引き出して物を買えるし、現金を使わずに、クレジットカードや振り込みを通じて、預金を移転して支払うこともできる。

銀行券と預金はどちらも「銀行の借用証」

より本質的には、現金と預金は、外見は違うが、実は同一に近いものである。

まず両者とも起源は、日本の両替商、イギリスのゴールドスミス(金匠)などが発行した「金預かり証」等にある。現金の持ち歩きや輸送は不便・危険なので、金などの現金をこれら業者に預けて「預かり証」を発行してもらい、その“紙”が支払いや送金に使えるようになった。もちろん業者と預かり証に信用がある限りにおいて、である。

この預かり証が、預金(証書・通帳)の起源であると同時に、銀行券の起源でもある。

やや理論的には、預金と銀行券の始祖であるこの金預かり証は、銀行(の始祖である両替商や金匠)が発行した負債(借用証)にほかならない(金融論では借金することを「負債を発行する」という)。個人なら借用書、企業なら社債にあたる。

個人借用書や社債は無限定に支払いに使える(受け取ってもらえる)だろうか。ふつうは使えない。

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