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政治・経済・投資 #解剖MMT<現代貨幣理論>

【解剖MMT⑥】インフレ心配無用に反する実体験 いま振り返るべき戦後インフレの経緯と教訓

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  • 伊藤 修 埼玉大学名誉教授

INDEX

財政赤字は心配無用、インフレがひどくならない限りは――。そんな主張が数年前から賛否双方の議論を呼んできた。

MMT(現代貨幣理論)。それは、主流経済学を覆す真理なのか、はたまた荒唐無稽なトンデモ論か。見極めるうえでは、貨幣の話と財政の話が絡み合ったMMTの論理を丁寧に腑分けする必要がある。

「解剖」のメスならぬ筆をとったのは、財政史と金融論を横断して研究してきた伊藤修・埼玉大学名誉教授。全7回にわたる論考をお届けする。

※2024年3月4日(月曜)6:00までは無料で全文をご覧いただけます

第2回で重大な問題として挙がったインフレに関して、MMTは次のように主張していた。

①そもそもインフレは警戒されすぎている。例えば年40%以内のインフレであれば何ら問題はない。

②MMTが主張する財政拡大(国債増発)ではインフレは起きない。なぜなら、財政拡大を発動すべき不完全雇用のもとでは、需要拡大に即応して供給も拡大するのでインフレにはならず、真正インフレが起きる完全雇用では、財政拡大の必要がないからである。

③もしインフレがひどくなりそうなら、速やかに財政を引き締めて止めればよいだけである。

これらについて検討しよう。

インフレ率40%以内なら問題ないのか

①の「年40%以内のインフレであれば何ら問題はない」はリアリティから乖離している。

インフレの害悪について、経済学では、Ⓐ各財の相対価格の動きが覆い隠され、価格のシグナル機能が不全になること、Ⓑ実際には各財の価格の上昇には差があり、インフレ利得と損失が発生すること、が挙げられる。

Ⓑの例は、年金増額や賃金上昇が物価上昇以下であったり遅れたりした場合の年金生活者や労働者の実質貧困化、資金の借り手のインフレ利得と貸し手の損失、などである。これらが問題でないというのは、現実の経済からかけ離れている。

マクロ面では、ごくマイルドなインフレは成長率にプラスだが、ある閾値(転換点)を超すとマイナスであるという実証結果が知られている。閾値の分析結果には幅があるものの、目安としては数%とみてよく、これ以下であれば「何の問題もない」とMMTがいう「年40%」ははるかに高すぎ、現実離れしている。

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