17行で流出超過、地銀「預金減少率」ランキング 「金利ある世界」で預金争奪戦が勃発も

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ワースト2位となった東日本銀行
東日本銀行は、店舗統廃合が預金流出につながった(記者撮影)

 「営業店の表彰項目に、預金の獲得を盛り込もうと考えている」。ある地方銀行の幹部はそう打ち明ける。

銀行にとって、預金の重要性が増している。運用先に困る低金利時代は、銀行にとって預金は「お荷物」だった。ところが、金利ある世界では運用原資としての預金量が収益力につながる。

では、地銀の預金量はこの1年間でどう増減したか。東洋経済は地銀99行を対象に、2024年3月末時点の預金量を集計。前期比での増減率を比較した。

減少幅が8.4%と最も大きかったのは長野銀行。同行は2026年に八十二銀行との合併を予定しており、県内店舗を40店以上廃止することを決定している。ゼロゼロ融資の返済本格化に伴う預金減少などの動きのほかに、廃止店舗の近隣に住む利用者が、預金を他行に移した可能性がある。

2位はコンコルディア・フィナンシャルグループ傘下の東日本銀行。預金量は前期比で4.74%減った。茨城県発祥の同行だが、近年は東京に営業基盤を移しており、茨城県内の店舗を統廃合したことが預金流出につながった。同じコンコルディアFG傘下の横浜銀行から資金を融通してもらうことで、減少分を補う構えだ。

島根銀は預金の1割を営業域外から調達

他方、営業エリア外からの預金調達が奏功して、残高を増やした銀行もある。島根銀行は2022年9月、スマートフォン支店「しまホ!」を開設した。0.25%という普通預金金利を武器に、わずか1年2カ月で500億円を集めた。同行の預金量全体の1割に相当する額で、預金者の9割は山陰域外だ。同じ島根県の山陰合同銀行も、やはり県外在住者の預金を獲得しようと年度内にネット支店を立ち上げる。

一方、別の地銀幹部は「高金利を提示して集めた預金は、粘着性(引き出されにくさ)が弱い」と指摘する。スマホ取引で手軽に預金を引き出せる昨今、より高い金利を提示した銀行に預金を移すことも容易だ。預金量に対して貸出金や有価証券の残高や残存年限は適切か、バランス調整が重要になる。

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