
「共通善資本主義」を唱えるトランプ政権の政策ブレーン、オレン・キャス(写真:Lauren Lancaster/The New York Times)
第2次トランプ政権の破天荒な政治が続く中、知識人らの間では新たな政治の枠組みを模索する動きが広がる。左右を問わず注目されるキーワードが「コモングッド」だ。政治学では「共通善」と訳されるこの概念は、トランプ現象以降、とくに保守側で活発に議論され、「共通善保守主義」「共通善資本主義」「共通善立憲主義」といった言葉が生まれた。
日本の『和』に似た『共通善』
日本語に置き換えにくい言葉だ。左派では、トランプ政権や中道化した民主党主流派を批判する経済学者ロバート・ライシュが、2018年に『コモングッド』のタイトルでそれを論じる本を出した。邦訳では「共益」「公共善」「良識」など、文脈に応じて訳された。政治学的には、古代ギリシャの哲学者アリストテレスや中世の神学者トマス・アクィナスまでさかのぼらなければ説明しきれない概念だ。
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