〈AIはSaaSを殺すのか〉AIエージェントが問い直す"バックオフィスSaaS"の存在価値。代替進めばSaaSは不要?AI時代に生き残るプレーヤーの条件
2022年以降、爆発的な普及を遂げた生成AI。あらゆるビジネスに変革をもたらしたこの波が今、企業の業務効率化を支えてきたSaaS(Software as a Service)業界にも押し寄せている。
多くの企業が日々利用している経理や会計クラウドサービス。25年には、これらのサービスを展開するラクス、フリー、マネーフォワード、Sansanといった大手から、LayerXやTOKIUMなどのスタートアップまで、バックオフィス向けSaaSの間で既存サービスへのAIエージェント導入の発表が相次いだ。
「ルールベース」の限界を突破
バックオフィス向けのSaaSは、クラウドを通じて経費精算や勤怠管理などの業務を効率化するサービスを提供する。サブスク型のため初期の導入コストが少なく、中小企業向けを中心に国内では10年代以降、プレーヤーが急増して本格的に普及した。
これまでも、SaaSがAIを利用してこなかったわけではない。生成AIが登場する以前の、いわゆる「ルールベースAI」は、OCR(光学式文字読み取り技術)を活用した領収書などのデータ化や、仕分けのエラーチェックなどのサービスに組み込まれてきた。
しかしルールベースAIは、あらかじめ人が教え込んだルールに基づいて、データ分類などの作業を行う。人間が持つ判断基準をすべてルールとして書き下すことは難しく、膨大なパターンへの対応はできなかった。

生成AIの台頭は、この限界を突破した。経理業務だけをみても、上図のように、AIエージェントの導入によって多くの作業領域で自動化の対象が拡大する。「バクラク」を展開するLayerXの福島良典CEOは、AIエージェントにより「従来のSaaSのちょっと外側で、人間がチェックしていた面倒くさい業務」が自動化されると話す。




















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