有料会員限定

〈深まる王者の苦悩〉ドコモが「想定を超える大苦戦」に陥った真因…"独り負け"から攻めに転じるも、 成熟市場の壁に直面

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

有料会員限定記事の印刷ページの表示は、有料会員登録が必要です。

はこちら

はこちら

縮小
かつては国内のモバイル市場で過半のシェアを誇っていたNTTドコモ。シェア奪還に向けた苦悩は深まっている(編集部撮影)

特集「携帯キャリア競争の新局面」の他の記事を読む

スマートフォンが広く普及し、飽和が進む国内の個人向けモバイル市場。利用者の乗り換えを妨げていた通信キャリアの業界慣行をめぐり、2020年前後に政府主導で見直しが行われ、携帯料金の値下げも進んだ。
一方で、携帯電話端末は高機能化や物価高による価格高騰で買い替え期間が長期化し、販売台数が減少傾向にある。成熟市場において限られたパイを奪い合う時代に突入した今、業界では何が起きているのか。その実態と課題に迫る。

「かなり力を入れて販促をしてきたが、激しい競争が全然収まらず、どちらかというと激しくなっている。負けるわけにはいかないので、今の状況が続いている」

キャリア最大手NTTドコモが本業のモバイル通信で、想定を超える大苦戦を強いられている。総務省によると、09年度末に50%だったドコモの携帯電話契約数シェアは、足元で33.3%(25年9月)まで低下。競合キャリアとの競争激化や、キャリアから回線を借りて事業展開する格安スマホ業者が存在感を高めたことが背景にある。

ドコモはシェア低下に歯止めをかけるべく、24年度から販促や通信品質改善に向けた投資を強化。先行費用はドコモの利益を圧迫し、25年5月に発表した25年度通期業績予想では、売上高に相当する営業収益が前期比2%増の6兆3360億円、営業利益が同5.3%減の9660億円と、2期連続減益の見通しを示していた。

大規模な費用投下を迫られる状況に

ところが足元では、当初に見込んだ以上の販促費投入を余儀なくされている。26年2月5日には、通期の営業利益予想を8830億円に下方修正した。同日に開かれた決算会見で、NTTの島田明社長は冒頭のように、ドコモを取り巻く事業環境への認識を語った。

下方修正の内容を細かく見ると、ドコモが大規模な費用投下を迫られている状況が浮き彫りになる。最大の利益押し下げ要因となるのが顧客獲得に向けた販促強化費の増加(利益押し下げ影響1130億円)で、次いで「端末購入プログラム」の収支悪化(同300億円)も響いている。

同プログラムは、消費者が携帯電話端末を分割払いで購入する際、一定期間後に端末を返却すれば残りの支払いが免除されるというもの。モバイル市場では他社からの契約移行を前提に同プログラムで顧客に訴求するケースが目立つが、想定を超える端末の返却が発生した結果、関連の引当金が膨らんだという。いずれも、積極的な顧客獲得姿勢が利益を押し下げた形だ。

次ページ独り負けが常態化
関連記事
トピックボードAD