小規模プレイヤーは厳しくなる
―― SaaSを取り巻く競争環境をどのように見ていますか。
これまで国内のSaaS市場は、働き方改革や電子帳簿保存法の改正、インボイス制度導入などにより、DXが比較的進みやすい状況にあった。SaaSのプレイヤーは、リソースを増やせば新規の受注が積み上がるような状況だった。
しかしここに来て、国内全体のDXの速度が鈍化している。以前は経費精算システムなどを入れていない企業も多く、そこにサービスを入れればよかったが、今はすでに多くの企業にSaaSが入っていて、これを(既存の契約先から)ひっくり返すのは難しい。逆に今入っていない企業はDXが遅かったところなので、その企業のDXを一気に進める難易度も高い。
―― つまり、これまでの勝ちパターンが通用しなくなっていると。
後から参入してきたSaaSプレイヤーはよりDXが難しい顧客を取っていく必要があり、顧客の獲得コストが増える傾向にはある。
とくに売り上げが小さいプレイヤーはきつくなるだろう。例えば売上高が5億円あったとして、開発投資などを完全にやめれば黒字化できるが、そこから成長させることができなければ、徐々に下がっていくしかないという状況が訪れる。
それ以外のSaaS企業でも、特定のサービスで売り上げを5億円ぐらい築いてその領域が伸びにくくなると、今度は違うものを作ることがあるが、結局は収益性が下がる結果になりがちだ。新しいサービスで黒字化するには時間もかかるし、投資もそれなりにいる。新しいプロダクトを1から作って売り上げを伸ばし、黒字化させるというやり方が難しい局面にきている。




















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