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〈成長業界は再編フェーズへ〉競争激化のSaaS、「合従連衡が進んでいく」 生成AI台頭、DX特需は一巡・・・ラクス社長が語る生存戦略

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中村崇則(なかむら・たかのり)/1973年生まれ。神戸大卒。1996年NTT入社。2000年1月インフォキャストを設立し、楽天に売却。同年11月にアイティーブースト(現ラクス)を設立し、代表取締役社長就任(撮影:谷川真紀子)

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生成AIの普及により、変革が求められているバックオフィス系SaaS(詳細はこちら)。同時に、ここ最近は同業者間の競争も激化している。
そんな中で、再編とも受け取れる動きが出始めている。経費精算システムを中心に「楽楽シリーズ」を展開するラクスは11月、人事関連システムを手がけるプラスアルファ・コンサルティングと資本業務提携を締結。同社のタレントマネジメントシステム「タレントパレット」を、ラクスの「楽楽人事労務」としてOEM提供する。
国内のSaaS業界は今後どう変化していくのか、ラクスの中村崇則社長に聞いた。

小規模プレイヤーは厳しくなる

―― SaaSを取り巻く競争環境をどのように見ていますか。

これまで国内のSaaS市場は、働き方改革や電子帳簿保存法の改正、インボイス制度導入などにより、DXが比較的進みやすい状況にあった。SaaSのプレイヤーは、リソースを増やせば新規の受注が積み上がるような状況だった。

しかしここに来て、国内全体のDXの速度が鈍化している。以前は経費精算システムなどを入れていない企業も多く、そこにサービスを入れればよかったが、今はすでに多くの企業にSaaSが入っていて、これを(既存の契約先から)ひっくり返すのは難しい。逆に今入っていない企業はDXが遅かったところなので、その企業のDXを一気に進める難易度も高い。

―― つまり、これまでの勝ちパターンが通用しなくなっていると。

後から参入してきたSaaSプレイヤーはよりDXが難しい顧客を取っていく必要があり、顧客の獲得コストが増える傾向にはある。

とくに売り上げが小さいプレイヤーはきつくなるだろう。例えば売上高が5億円あったとして、開発投資などを完全にやめれば黒字化できるが、そこから成長させることができなければ、徐々に下がっていくしかないという状況が訪れる。

それ以外のSaaS企業でも、特定のサービスで売り上げを5億円ぐらい築いてその領域が伸びにくくなると、今度は違うものを作ることがあるが、結局は収益性が下がる結果になりがちだ。新しいサービスで黒字化するには時間もかかるし、投資もそれなりにいる。新しいプロダクトを1から作って売り上げを伸ばし、黒字化させるというやり方が難しい局面にきている。

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