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【独自】JR東日本の中核子会社で「過労死ライン」超の重大な労働基準法違反が発覚。指摘した社員に「大声で叱責」などパワハラも

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「JR東日本ビルディング」の本社が入るSOUTH GATE新宿(編集部撮影)
昨年来、深刻な輸送トラブルや子会社の不祥事が相次いでいるJR東日本――。今年1月16日、作業ミスによる停電で、山手線や京浜東北線が8時間以上にわたってストップし、東海道線など747本が運休。通勤、通学客ら約67万人の足を直撃した。その2週間後の30日には、上野駅構内で架線切断による停電が発生。常磐線など156本に最大約7時間の遅れが出て、81本が運休し、約23万人に影響した。
さらに2月2日、京葉線八丁堀駅でエスカレーターが焼ける火事があり、同線は一時、全線で運転を見合わせた。これら3つのトラブルによる影響人数は計約93万人に上り、国土交通省は3日、JR東日本に対し、原因究明と再発防止策の検討を進めるよう行政指導を行った。
その一方で1月26日、国の委託事業における約20億円の不正受給が昨年発覚したJR東日本のグループ会社「ジェイアール東日本企画」が、東京都の委託事業でも同様の不正受給に及んでいたことが判明。都は同日、「悪質性が高い」として、同社に交付金約2億7000万円全額の返還と違約加算金の支払いを求めた。
しかし、前述のように、安全・安定輸送への信頼を揺るがす輸送トラブルを繰り返し、社会的信用を失墜させる子会社の不祥事が相次いでいるにもかかわらず、JR東日本の経営陣からは危機感や緊張感が伝わってこない。
その一因として指摘されるのが、安全問題をはじめ同社の経営全般を、会社から独立した立場でチェックする「労働組合」の不在だ。JR東日本では8年前、過半数労働組合の消滅と同時に、社員の親睦団体「社友会」が誕生。以来、JR東日本は、この社友会を過半数労組に代わる「経営のパートナー」として育成し、社友会は今や、社員約4万5000人の7割以上、約3万4000人が加入する同社の最大組織にまで成長した。その一方で、同社の組合加入者数は激減し、1万人を切っている。
デジタル連載「過信―JR東日本がもくろむ『労組消滅』」の第9回では前・後編にわたって、JR東日本が「重要な子会社」の1つとして位置づけるグループ会社の“ブラック企業”ぶりを詳らかにすることで、JR東日本が「労働組合」というチェック機能を完全に失ったとき、この会社で、いかにコンプライアンス違反とハラスメントが横行するかを予見する。と同時に、今やコーポレートガバナンスに不可欠となった内部通報制度が、JR東日本グループでは満足に機能していない実態を明らかにする。
 

【配信スケジュール】
第1回 JR東日本「社友会」育成の真の狙いは労組潰し
第2回 社友会を「経営のパートナー」とするJR東日本
第3回 JR東日本の“擬似労働組合”のような社友会
第4回 JR東日本が関与する「過半数代表選挙」の実態
第5回 JR東日本「過半数代表選挙」星取表から漏れ出る会社の本音
第6回 JR東日本「社友会」は働く者を労災から守れるか
第7回 JR東日本「社友会」に法的担保を付与しようと画策
第8回 JR東日本「労制エキスパート」がもくろむ労組一掃
第9回 【独自】JR東日本子会社で重大な「労基法違反」が発覚(前編、本記事)

総事業費6000億円、総開発面積9.5ヘクタール――。JR東日本が社運を懸ける日本最大級の再開発「TAKANAWA GATEWAY CITY」(高輪ゲートウェイシティ 東京都港区)が3月28日、グランドオープンする。同日には、TAKANAWA GATEWAY CITYと同様にオフィスやホテル、レジデンスや商業施設などを備えた巨大複合施設「OIMACHI TRACKS」(大井町トラックス 東京都品川区)のまちびらきも行われる予定だ。

3月28日にグランドオープンするTAKANAWA GATEWAY CITY(東京都港区、編集部撮影)
3月28日にまちびらきが行われる巨大複合施設OIMACHI TRACKS(東京都品川区、編集部撮影)

JR東日本グループは自社が創造した、これら2つの「新たなまち」を含む浜松町駅から大井町駅間の東京南エリアを「広域品川圏(Greater Shinagawa)」と位置づけ、2030年代半ばまでに同社グループが圏内に保有するビルの総床面積150万㎡で、年間1000億円超の営業収入を上げることを目指しているという。

だが、そんなJR東日本の「二十年来の夢」といわれる、これらの「新たなまち」のオフィス棟を管理運営する同社のグループ会社が、およそ日本を代表する公共交通機関のそれとは思えない、違法な長時間労働やパワハラが横行する“ブラック企業”であることが、複数の関係者の証言から判明したーー。

「月100時間超」の時間外労働

JR東日本のグループ会社76社の中でも、同社が「重要な子会社」とする20社の1つに位置づけられている「JR東日本ビルディング」【略称「JEBL」(ジェイビル) 東京都渋谷区】。

同社は2005年に設立された、JR東日本が100%出資する子会社で、前述のTAKANAWA GATEWAY CITYやOIMACHI TRACKSをはじめ、東京駅直結の「グラントウキョウサウスタワー」や新宿駅直結の「JR新宿ミライナタワー」など、JR東日本が所有するオフィスビルや複合ビルの貸し付け、管理運営を行っている。

歴代の代表取締役にはJR東日本の元経営幹部が就き、現在も取締役10人のうち9人、執行役員8人のうち5人がJR東日本出身者で占められている。

ちなみに昨年、内閣府など8府省庁から受託した82件の事業で、人件費などを水増し請求し、委託費など約20億円を不正受給していたことが発覚した広告会社「ジェイアール東日本企画」【略称「jeki」(ジェーキ) 東京都渋谷区】も、JR東日本が「重要な子会社」とする1つだが、引責辞任した赤石良治社長の後任には、それまでJEBLの社長を務めていた石川明彦氏が就いている。

そんなJR東日本の不動産事業の中核を担うグループ会社で、重大な労働基準法違反が発覚したのは4年前のことだった。JEBL関係者が証言する。

「2022年3月のことです。JEBLの現場部門の1つで、サービス残業が常態化していただけでなく、『過労死ライン』の月100時間を超える時間外労働が発覚し、社内で問題となったのです」

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