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〈岐路に立つバックオフィスSaaS〉AI時代にフリーが見出す勝ち筋…佐々木CEO「営業から開発まで、AIによって投資効率が圧倒的に改善し始めた」

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佐々木大輔(ささき・だいすけ)/1980年生まれ。一橋大学卒。博報堂、CLSA キャピタルパートナーズジャパン(現サンライズキャピタル)、アルベルト(当時)などを経て、2008年にグーグルに入社。12年にフリー株式会社を設立してCEOを務める(撮影:梅谷秀司)

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2022年以降、爆発的な普及を遂げた生成AI。あらゆるビジネスに変革をもたらしたこの波が今、企業の業務効率化を支えてきたSaaS(Software as a Service)業界にも押し寄せている。
AIの急速な進化は、SaaSのビジネスをどう変えていくのか。中小~中堅企業向けに、ERP(統合業務システム)を提供するフリーの佐々木大輔CEOに話を聞いた。

――最近、AIエージェントを搭載した新サービスの発表や“AI SaaS”に関する報道が増えています。フリーにはどのような影響がありますか。

われわれが得意とする(管理部門など)バックオフィスの領域でAIが果たす役割は、めちゃめちゃ大きい。当社のプロダクトの価値を大きく引き上げていくだろう。

今、バックオフィス業務には、残念ながら紙ベースのものがたくさんある。(担当者や従業員が不満に感じている)ペインは「紙とデジタルの行き来」だ。

経理の担当者には、会計帳簿をつけるための書類から、従業員の生命保険料控除や住宅ローンの証明書まで、いろんな紙の書類を受け取って処理する業務が存在する。AIをはじめいろいろな技術に投資をすることで、きれいにデジタルで処理して、大幅に効率化したい。

単純作業の外注は減っていく

実際、会計事務所向けに(顧問先企業の)銀行通帳をOCR(光学式文字読み取り技術)で読み取ったり、年末調整の書類を自動で読み取る機能などを提供しており、業務の自動化やミスの削減に大きな成果を残している。

効率化が進んでいけば、書類の処理と、当社の提供している(経理や人事労務の)ソフトウェアを一体化して使えるようになり、あたかもソフトウェアの中で、アウトソーシングのサービスに近いような処理ができるようになる。

こうした部分を突き詰めていけば、「ソフトウェア」と「アウトソーシングのサービス」の境界線がなくなっていく。単純な作業のアウトソーシングは減っていき、会計事務所の業務でも(記帳代行のような作業は減って)、経営の伴走とか経営コンサル的な部分は伸びていくだろう。

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