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ハブスポットAI責任者が激白「95%が失敗するAIのビジネス活用」「SaaSバブル崩壊後の再成長戦略」

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ハブスポットは9月3~5日にアメリカ・サンフランシスコで年次イベント「INBOUND」を開催。CRMのみならず、AI機能群の強化を通じカスタマープラットフォーム全体を提供する会社として、数々の新発表を行った (写真:ハブスポット)

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CRM(顧客管理システム)のプラットフォームとそのAI機能群を提供するアメリカのSaaS(Software as a service)企業・ハブスポットは9月4日、新規のAI(人工知能)エージェントをはじめとする大規模な製品アップデートを発表した。
同社は2006年に創業されたオンライン上で見込み客を育成するインバウンドマーケティングの先駆けであり、2021年にヤミニ・ランガン氏がCEO(最高経営責任者)へ就任した後に成長が加速。現在は中小企業を中心に世界中で約27万の有料版顧客を抱え、年間売り上げは28億ドル(約4200億円)、時価総額は245億ドル(約3.7兆円)に上る。
サービスの中核となりつつあるのが、「Breeze(ブリーズ)」と呼ばれる、プラットフォーム上で統合されたAIツールの集合体だ。AIがSaaSビジネスを駆逐するという見方も広がる中、どのような手を打っているのか。シニア・バイスプレジデント兼AI責任者のニコラス・ホーランド氏に展望を聞いた。

――企業は生成AIの活用に大きな期待を寄せていますが、その実装に大きな課題を抱えています。問題はどこにあると思いますか?

何もしないか、すべてをやるかという二極化の傾向が生まれている。多くの企業がAIの活用を戦略的に先延ばしたり、50以上のツールを無秩序に使ったりという極端なアプローチの間で悩んでいる。大規模言語モデル(LLM)に触れることは簡単でも、それを業務に統合して成果を出すことは非常に難しい。MIT(マサチューセッツ工科大学)の調査では、企業内のAIイニシアチブの95%が価値を提供できていないという厳しい現実が示されているが、これは企業がAIをビジネスに組み込んで実際の「仕事」をさせることの困難さを示すものだ。

ITの歴史がメインフレームからPC、PCからWeb、Webからモバイルへ移行したのと同様に、AIもビジネスのあり方を根本から変える技術であることは間違いない。この変化に適応できない企業は、勝者と敗者に分かれる。そうした中でハブスポットは、企業が本当に目指すべきは「AIファースト」ではなく、AIを既存のビジネス機能、つまりマーケティング、セールス、サービスなどに適用し、顧客への価値提供を深めるということを提唱している。

全従業員がAIアシスタントを持つ

――企業がAI活用で主導権を得るために、具体的にどんな支援をしていますか。

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