特集「崖っぷちのDX」の他の記事を読む
「グリコの二の足は踏みたくない」「お前、このままだとグリコみたいになるぞ」――。ITシステム業界の一部では、「グリコ」が失敗の代名詞のように扱われているという。
2024年4月、国内菓子大手・江崎グリコ(以下、グリコ)では、基幹システムの切り替え時に大規模な障害が発生した。これにより冷蔵(チルド)品の出荷が停止し、主力の「プッチンプリン」など17ブランド82品目、「トロピカーナ」などキリンビバレッジから販売受託している37品目が、一時スーパーやコンビニから姿を消した。
出荷停止によるマイナス影響額は売上高300億円、営業利益80億円で、2024年12月期の国内事業の売上高は前期比4.8%減の2488億円、営業利益は同81.5%減の26億円に終わった。過去に決算期やセグメントの変更があり単純比較はできないが、営業利益に関しては、国内のみの業績が開示され始めた2014年3月期以降で最低水準になったとみられる。
さらに、製品・原材料廃棄費などのシステム障害対応費用64億円を連結損益計算書上の特別損失として計上。基幹システム移行時の失敗が業績へ甚大な影響を及ぼしうる代表例になった。
全面復旧に半年以上
ことの発端は4月3日。グリコは基幹システムについて、旧来のものから、統合業務システムの代表格「SAP」の最新製品「SAP S/4HANA」への切り替えを実施した。だが、この際に一部の受発注や出荷業務に影響するトラブルが発生。14日にチルド品の出荷が停止した。
この記事は有料会員限定です。
(残り 3148文字 です)
有料会員とは
無料会員登録はこちら
ログインはこちら