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ビジネス #崖っぷちのDX

DX戦略で迷走が続いたセブン&アイ・HD、「ITのプロ招聘ではダメ」。現・DX責任者が語る反省と教訓

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国内のコンビニ事業とグループ全体では真逆に進んでいた、セブン&アイ・HDのDX戦略。全社共通のシステム基盤を作ることは容易ではない(撮影:今井康一)
コンビニ大手のセブン‐イレブン・ジャパンは、2020年に40年以上稼働していたレガシーシステムから、クラウドベースの基盤への刷新を果たした。その一方、親会社のセブン&アイ・ホールディングスのDX(デジタル・トランスフォーメーション)をめぐっては、担当部署の分裂や役員の交代など迷走が続いた。同グループの「失敗」から企業が学ぶべき教訓とは――。今年3月に同社CIO(最高情報責任者)兼グループDX本部長に就任した西村出氏に話を聞いた。

――三井情報などを経て2014年にセブン&アイ・ホールディングスへ出向、それ以来、セブン‐イレブン・ジャパン(SEJ)のシステム業務にかかわってきました。当時、SEJの状況をどう見ていましたか。

いわゆる「ベンダーロックイン」の状態だ。

SEJの創業間もない頃からお付き合いいただいているNECや野村総合研究所(NRI)に、「とにかく要件だけ伝えてあとはお任せ」「でも安心安全は絶対条件」というスタンスだった。システムがどういうロジックで動いているか、自社でまったく把握できていなかった。

弊害は大きい。例えば、データ活用だ。

にしむら・いずる 三井情報、三井物産を経て、2014年にセブン&アイ・ホールディングスのシステム企画部に出向し、2019年に入社。セブン‐イレブン・ジャパン執行役員システム本部長などを経て、25年3月よりセブン&アイ最高情報責任者 (CIO) 兼グループDX本部長。同年5月から同社常務執行役員も兼務(撮影:風間仁一郎)

SEJは世界に先駆けてPOS(販売時点情報管理)データをマーケティングに使った会社として知られているが、当時はデータを自社ではなく、システムの管理者であるベンダーが保有していた。いざ分析しようにもベンダーからデータが送られてくるのは早くても翌日。加工が必要な場合は、4日かかることもあった。

また約40年もの間、拡張を繰り返してシステム自体が複雑化していた。機能を追加しようにも、どこにどの程度影響が出るのか、ベンダー自身ですらも十分理解できていなかった。そのうえ、システムを設計したベンダーの担当者が続々、(定年で)引退していった。当時は言葉こそなかったが、まさに「2025年の崖」そのものだった。

私たち小売業はスピード感をもって変化対応を進めていかなければならない。しかし、システム基盤はそれが可能な状態ではなかった。特定のITベンダーに過度に依存した体制から、クラウドを前提とし、オープンな技術で構成された基盤に刷新する必要があると確信し、2015年頃から社内外の調整を進めていった。

黒船に刀で歯向かう「サムライ」

しかし、(自社で情報システムを構築・運用する)オンプレミスから、クラウドへのシフトを検討し始めた2015年当初、反対したのは意外にも既存ベンダーだった。クラウドが十分浸透していなかったということもあり、レガシーシステムのベンダー担当者は「機密情報をオンプレから、社外に移すんですか。安全性は保証できませんよ」と。

既存ベンダーもSEJのビジネスを第一に考えてくれてのことだろうが、私には、機動的に最新技術を取り入れることができ、セキュリティーの堅牢性を保つことができるはずのクラウドに、レガシーシステムで対抗するベンダーがまるで、黒船に刀一本で立ち向かう侍のように見えた。

一方、既存のベンダーがクラウドに挑戦しにくかったのは、リスクの判断もできないのに、やりたいことを言うだけのわれわれユーザー側にも責任がある。DXするうえでは、まず発注者であるユーザー側が変わらないといけないと思い、意識改革を進めていった。

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