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嘔吐に下痢ーー感染症が蔓延するもプロの医療・介護スタッフは不足。過酷すぎた「1.5次避難所」の現実

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知られざる「1.5次避難所」の過酷な現実

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石川県能登半島を襲った能登半島地震から2026年1月1日で2年になる。徐々にだが復旧・復興は進み、なりわいの再生に汗を流す人々の姿がメディアで取り上げられるようになった。人口流出や少子高齢化が進む能登半島に支援の手を差し伸べる人も多い。
だが、あの地震を「過去のこと」にするのはまだ早い。とりわけ地震直後の現場の状況や石川県庁の対応ぶりがどうであったかについては歴史に刻むべき事実が無数にある。忘却したい人もいよう。だが、能登地震の検証は、必ずや、次の大地震に備えるうえでの教訓になる。
ノンフィクション作家・山岡淳一郎氏によるデジタル特集「能登 2年目に明かされる真実」の3回目は、県が設けた「1.5次避難所」の過酷な現実を紹介する。
【第1回】能登半島地震2年目に明かされる真実(1月1日配信)
【第2回】被災者を探せ!IT技術者、自衛隊員たちの奮闘(1月1日配信)
【第3回】嘔吐に下痢、過酷すぎた「1.5次避難所」の現実(1月4日配信、本記事)
【第4回】馳浩知事インタビュー(Coming Soon)

大災害への対応の渦中で“決めることが仕事”のリーダーは、批判の矢面に立たされる。

2024年1月5日、馳浩・石川県知事の発言が波紋を起こした。馳知事は、第10回災害対策本部会議で、人命救助の優先や、孤立集落の解消、被災者の石川県南部の旅館・ホテルへの2次避難に触れた後、こう言い添えた。

「能登へ向かう道路は渋滞でたいへん困っています。個別や一般のボランティアは控えてください。不要不急の能登への移動は控えてください。人命救助、また能登の避難所にいる人のために対応していますけども、救援部隊もたいへん困っています。どうぞご協力をお願いします」

さらに馳知事は自身のX公式アカウントでも同様の発信をした。するとネット空間を中心に反発がわき起こる。

「支援を拒否するのか。最も人手が必要なときに『来るな』では、復興が遅れる」

「国民の善意を冷やすな」

「上から目線で高圧的だ。『受け入れ態勢が整うまで待ってほしい』と表現を工夫すべきだ」

便器から排泄物があふれる状態

実のところ、能登は道路の寸断で渋滞が甚だしかっただけでなく、ボランティアスタッフが泊まれる施設も十分になかった。遠方からの日帰りは地理的に難しい。断水と停電で食事や飲料水、トイレといった生活インフラが壊れ、ボランティア活動は困難だった。とくにトイレ、排泄(はいせつ)の問題は大きい。地震後の状況を知る地元のメディア関係者は、こう振り返る。

「被災地には、食べ物や水は用意して行きましたが、トイレが少なく排泄物が便器からあふれる状態で、とくに女性記者たちは苦しんでいました。水分や食事を摂るのを控えたために、体調を崩す人が相次ぎました。脱水による頭痛やめまいのほか、尿量が減って、細菌が増殖しやすくなり、膀胱炎や腎盂(じんう)炎の兆候が出て、やむなく引き返す女性記者もいたんです」

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