被災地での個人のボランティア活動は、現実的に難しかった。とはいえ、知事の発言への反発は尾を引いた。1月下旬に被災地の状況がやや落ち着き、泥かき・がれき撤去に猫の手も借りたくなっても、ボランティアはなかなか集まらず、ボランティア不足が続いた。一度、冷や水を浴びせられた人間の意欲は再燃しにくい。
ボランティアについて、石川県庁に赴き、知事や副知事をサポートした災害支援の専門家、菅野拓・大阪公立大学准教授は次のように指摘する。
「ボランティアという言葉で、多くの人は、ピースウィンズ・ジャパン(PWJ)のように年間70億円規模の予算を使い国内外で迅速に災害支援をしているプロ集団の特定非営利活動法人(NPO法人)から、個人で被災地に入る人まで、一緒くたに捉えがちです。が、プロ集団のボランティアスタッフと、個人で入ってくる方とでは実態が大きく異なります。NPOは被災地での生活インフラを自前で用意して活動するんです」
プロにしかできないこと
ちなみにPWJは、能登半島地震が発生した10分後に医療団の出動を決断し、翌1月2日14時ごろから珠洲市で被災者の捜索、救助・救命活動を展開している。しかも浄水器を持ち込んでおり、〈自衛隊より早く川の水を浄化〉し、〈救護所に来たおばあちゃんは水がなくて困っていた〉ので水を届けたという(「PWJ年次報告書2023」より)。災害支援NPOのプロの手際だ。
「あの知事のメッセージをかみ砕けば、プロ集団のNPOには来て活動してほしいけど、個人の参加については、道路渋滞がひどくて救える命も救えないから、もう少し待って……というものでした。しかしメディアも含めて、外からの支援者をすべて『ボランティア』とひとくくりにして、能登に入るなと受け止められた。そこが一番の問題。基本的にボランティアは個人を指す言葉です。NPOはNPOと呼んで、ちゃんと区別して表現する必要があった」と菅野氏は言う。
馳知事の一つひとつの決断が、さまざまな議論を呼んだ。今なお物議を醸しているのが、「1.5次避難所」の運営である。




















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