被災者が、断水して電気やガスの復旧が遅れる極寒の能登にとどまれば、災害関連死が増える。そこで石川県は、自宅の復旧や仮設住宅への入居までの間、被災者を金沢市内や加賀地域のホテル、旅館、福祉施設などへ移す広域の2次避難を推し進めた。自主的に県南部に移動する被災者も多かった。
しかし、被災者の皆が皆、スムーズに2次避難先に移れるわけではない。サポートが必要な高齢者や障害のある人、妊産婦と乳幼児、難病の患者、日本語に不慣れな外国人らはいきなり一般のホテルや旅館、福祉施設に入れられたら暮らしていけない。
このような避難弱者、行政用語でいう「要配慮者」については、いったん金沢市内の安全な「1.5次避難所」に移って一時的に滞在し、その人にふさわしい行き先を選んで2次避難へというコースが敷かれた。大規模災害での1.5次避難所の開設は、今回が初めての試みだった。
24年1月8日、金沢市内の「いしかわ総合スポーツセンター」メインアリーナに1.5次避難所が開かれた。石川県産業展示館2号館、小松総合体育館にも小さな1.5次避難所が設けられたが、中心はいしかわスポーツセンターだった。

医療・介護スタッフが足りない
いしかわスポーツセンターの1.5次避難所が始動すると、介護が必要な高齢の避難者が続々と送り込まれてきた。バスケットボールコート4面分の広さ(80m×46m)のメインアリーナに2人用のテントが250張り、組み立てられる。テントの中には段ボールベッドが2つと毛布が用意された。
施設の運営を任された石川県文化観光スポーツ部の職員たちは、車いすや寝たきりの高齢者を前にオロオロした。高齢の避難者たちは、体を動かさない生活が続き、健康状態の悪化が危ぶまれたが、医療や介護、リハビリを提供できるスタッフがまったく足りなかった。




















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