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葉山町ホテル建設に向けトゥモローランドが提出した住民との協議記録について葉山町長も疑問視。それでも開発を容認した理由

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葉山町の住民O氏が町長あてに提出した書面。トゥモローランドが葉山町に提出した協議記録の内容を否定している。一部加工(資料:葉山町住民)

特集「波乱 御用邸の町「葉山」住民の憤激」の他の記事を読む

皇室「御用邸の町」として知られる神奈川県葉山町。時間がゆったりと流れる海辺町に魅了される人は今も昔も数多く、ある不動産会社が実施した「住み続けたい街ランキング」首都圏版では5年連続でトップに立っている。
ところが今、その町が揺れている。ある住民が「葉山の豊かな日々が消し飛ばされた」と憤激するその原因は、海岸線沿いに建設された豪奢なホテルだ。住民が建設に強く反発する理由は一つや二つではなく、無数にある。怒りの矛先は事業者、設計会社のみならず葉山町、神奈川県にまで向けられている。
葉山の波は鎮まるのか。ジャーナリスト、田中周紀氏による連載企画「波乱 御用邸の町『葉山』住民の憤激」第5回は、ホテル建設を計画したアパレルメーカー、トゥモローランド(東京都渋谷区、佐々木啓之代表取締役会長。以下、啓之氏)が葉山町長名の「ただし書き」を獲得するために作成したとみられる、取り付け道路沿道住民との不可解な協議記録について、後編をお送りする。

第1回 御用邸の町「葉山」の豪奢ホテルに住民が憤激
第2回 葉山町「いわく付きの場所」でホテル開発の手口
第3回 葉山町ホテル開発許可に向けた設計会社の口車
第4回 葉山町からホテル開発許可を得るための"秘策"
第5回 資料疑問視しても葉山町長が開発を許可した理由(本記事)

「行きましたよ、この(取り付け道路)両側(の世帯)全部。うそは誰もついてないですからね!」

トゥモローランドの高級リゾートホテル「Casa CABaN HAYAMA」建設の責任者を務める同社取締役で、啓之氏の実娘でもある坪田(佐々木)由香氏(以下、由香氏)は昨年秋、ホテル建設反対派の近隣住民に対し、自身にかけられた疑いをこう強く否定したという。

葉山町まちづくり条例は「開発事業区域が1000㎡以上1万㎡未満の場合、主要道路(開発事業区域に接する公道)と周辺の整備された道路との間の道路(取り付け道路)は、主要道路と同等以上の幅員が確保されるよう拡幅整備するものとするが、拡幅整備が不可能な事情があると町長が認めたときは、この限りではない」と規定している。

7世帯を訪問したことになっている協議記録

「ただし書き」と呼ばれるこの条項は、取り付け道路を幅6m以上に広げられない事情があると町長が認めれば、6m未満でも開発を許可するというもの。そこでトゥモローランドは、2021年12月2日から22年1月12日までの間、由香氏ら複数の担当者が沿道の計7世帯を訪問し、実際に面談できた同6世帯に協力を要請したものの、そのすべてで断られたとする協議記録を作成した(記録の表記が訪問記録、議事録、打ち合わせ記録と不統一のため、本稿では協議記録で統一する)。

啓之氏と由香氏は21年6月2日、取り付け道路の幅が実測値で3.79mしかない箇所に位置する住宅の所有者やその親族らと面談。幅を6m以上に広げるため土地の譲渡を受けたいと申し入れて断られたとする協議記録を作成していた(連載第4回参照)。そして同社は22年1月21日ごろ、これらをまとめて葉山町都市経済部に提出した。

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