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「船を造らない会社」がニッポン造船業復活のカギを握る理由。海運大手3社も出資する三菱造船の「別動隊」MILESの正体

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海運や造船の業界が目指す、船の基本設計共通化。その成否のカギをMILESが握っている(画像:MILES)

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船を造らない。船で物を運ばない。それでも船の姿を決める——。東京・新橋に本社を置く設計の司令塔が、日本の造船業界復興を左右する。次世代船の標準化を武器に、業界の構造そのものを変えようとしている。その全貌とは。

日本の造船復興のカギを握るといわれるMILES(マイルズ)。Marine-design Initiative for Leading Edge Solution(最先端ソリューションのための海事設計創造企業)を略した社名で、2025年1月に「MI LNGカンパニー」から社名を変更した。東京・新橋に本社を置き、設計の実働部隊は長崎の造船所内にいる。

「MI LNGカンパニーは今治造船とLNG(液化天然ガス)運搬船の設計と営業を行うために設立した会社だった」。三菱造船の渡辺祐輔執行役員CSO(最高戦略責任者)はそう説明する。

しばらく開店休業だった「別動隊」

MI LNGは13年、三菱重工業が51%、今治造船が49%を出資して設立された。三菱重工は船舶機器を手がける一方、自らも船を建造する。今治造船などの「地場系」造船会社は三菱重工にとってライバルでもあり、取引先でもあった。LNG船をめぐって両社の思惑が一致し、三菱重工からMI LNGに出向した約20人が設計を、今治造船が建造を担う体制が敷かれた。

ところがその後、韓国勢とのコスト競争に敗れ、LNG船数隻を建造しただけで受注が途絶えてしまう。日本の造船業そのものの地盤沈下も進み、三菱重工は18年に三菱造船を設立して商船部門を切り離した。さらに22年には、商船を建造する長崎の香焼(こうやぎ)工場を地場系の大島造船所に売却。重工本体は艦艇・潜水艦建造、艦船修繕に事業を絞った。

この再編を経て三菱造船はフェリーや巡視船などの建造を担うようになる。数百人規模の社内の設計部隊がそれを支えた一方、MI LNGへの出向者たちは「別動隊」に位置づけられ、LNG船の建造がなくなったことでしばらく開店休業状態が続いた。

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