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「造船が弱れば海運業も弱る」 日本船主協会・長澤仁志会長が語る再生の条件、中国との船価差を縮め設計を共通化せよ。弱点はファミリー企業体質

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長澤仁志(ながさわ・ひとし)/日本船主協会会長、日本郵船会長。神戸大学経済学部卒業、1980年に日本郵船に入社。LNG(液化天然ガス)グループ長、海洋事業グループ長などを経て、2019年社長、23年会長。24年から経団連副会長兼務、25年からは日本船主協会会長も兼務(撮影:梅谷秀司)

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日本の造船業は復活できるのか。船主である海運業界がどうみているのか。日本船主協会会長で日本郵船会長の長澤仁志氏に、現状、課題、可能性について聞いた。

――造船業の現状を海運業の立場からどうみますか。

海運業界と造船業界は車の両輪の関係で、支え合って戦後の日本経済を牽引してきた。しかし2000年代以降、韓国の台頭や中国の急成長により、造船シェアは後退した。足元では受注ベースで世界シェアは10%を切って8%程度になっている。これは造船業の歴史に照らせば、イギリスなどのヨーロッパ勢がかつてそうだったように、消滅に向かう危険なサインだと認識している。

日本で建造できなくなるリスクに強い危機感

島国の日本は貿易量の99.6%(23年)を海運に依存している。仮に造船業が消滅すれば、われわれ日本の海運会社は中国に船を発注せざるをえなくなる。すでに海運の主力であるバルク船(ばら積み船)などでは中国と競合している。地政学リスクが高まった際、必要とする船を自国で建造できなくなる事態が許容されるのか、強い危機感を持っている。造船業が弱体化すれば、いずれ日本の海運業も弱体化する。

――現在はできていないLNG(液化天然ガス)運搬船の国内建造に乗り出す動きをどうみますか。

エネルギーと食料の安定確保は日本の生命線だ。一時は脱炭素化の流れで化石燃料であるLNGも減っていくといわれたが、AIの普及やデータセンターによる電力需要の増大を考えると、今世紀中は利用が続く可能性が高いとみている。

かつて日本は「モス型」と呼ばれる球形タンク方式で強みを持っていたが、その後、薄いステンレス鋼を用いた「メンブレン型」に移行し、大量建造能力を持つ韓国勢にシェアを奪われた。現在、LNG船は世界に約800隻あり日本郵船、商船三井、川崎汽船の3社でその3割程度を保有しているが、日本での建造は途絶えている。エネルギー政策の観点から、日本で調達できない現状は変えていかなければならない。

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