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【国交省のキーマンを直撃】日本造船は復活できるのか? 2035年建造力倍増を掲げた「最後の反転攻勢」の勝算、業界「3グループ化」の真意

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昨年末に政府が打ち出した「造船業再生ロードマップ」の事務方キーマンである国土交通省の河野順・海事局次長は「今は反転攻勢の最後のチャンスだ」と語る (撮影:尾形文繁)
2035年、国内の造船能力を倍増させる――日本政府が掲げた目標は現実的なのか。中韓に奪われた世界シェアを取り戻すため、官民で計1兆円近くを投じる反転攻勢が始まる。海事行政に30年超携わってきた霞が関のキーマン、河野順・国土交通省海事局次長がその勝算と「業界3グループ化」の真相について語った。

――日本の造船業の現状をどうみていますか。

2020年前後は世界の造船業が不況で厳しかった。受注から引き渡しまで2年ほどかかるため、手元の受注が年間建造量の2倍程度ないと経営は厳しい。不況時には手持ち工事量が1年分しかなく、造船所の閉鎖や撤退が相次いだ。

ところがその後、世界の造船マーケットは急回復した。船のリプレース時期が迫り、船価が回復し、円安も追い風となった。足元では、日本の造船所は3~4年分の手持ち工事量を確保し、黒字が続いている。ただし造船業は好不況の波が激しく、好況がいつまでも続くとは考えていない。

好況期にこそ問われる備え

――今が重要な時期なのですね。

好況期にやるべきことをしっかりやっておかないと次の不況を乗り越えられない。これから30年、35年にかけて船の「燃料の転換」が起こる。重油からCO₂を出さないアンモニアや水素、メタノールへの転換だ。新しい燃料の船は工期が長くなり建造量が伸びにくい。

昔に比べて造船所が減り、労働時間の規制も厳しくなった。たくさん受注したら夜も土日も働く、ということはできない。必要な船を日本で造るには相当な建造能力と生産効率の向上が必要になる。国内の建造量が落ちてしまった今は、反転攻勢の最後のチャンスだと思う。

――中国と韓国が圧倒的に強いですが、なぜ日本と差ができたのですか。

日本は1970~80年代に世界で最も多く造っていたため、オイルショックによる世界造船不況の波をもろにかぶった。赤字受注で倒れないよう、造船能力を絞る産業政策を取った。

その後、韓国の財閥が大きな造船所を次々に造り、日本の技術を学んで成長していった。00年に日本は韓国に抜かれた。そして00年ごろからは中国が国営造船所を中心に国策で造り始め、10年に世界トップとなった。

リーマンショック後の世界的な造船不況で、日本では造船所を閉めたり修繕に特化したりした。一方、韓国は経営難の大宇造船海洋1社に1兆円以上の公金をつぎ込み、中国も国が支える政策を取った。日本はファイナンス支援が中心で、多額の補助金を出さなかった。中韓が国を挙げて支援する中で、日本は政府としておとなしかった。

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