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日本の造船・海運は「技術による安全保障」を追求せよ、民間主導によるイノベーションを実現することが海洋立国としての日本の生き残り戦略だ

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日本財団の笹川陽平名誉会長がこれまでに会った大統領・首相・国家元首の人数は500人近くにのぼるという。現在も精力的に海外を訪問している(撮影:梅谷秀司)

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高市早苗政権が17の重点投資分野の1つに挙げた「造船」が注目されている。戦後間も無くから海洋立国を目指して、日本の海運・造船業を支援してきたのが日本財団だ。同財団の笹川陽平名誉会長は、政府が進める「造船復興政策」をどうみているのだろうか。

――高市政権が掲げる「重点投資対象17分野」の1つに造船が入っています。これをどう評価しますか。

日本の海運・造船は、第2次世界大戦で壊滅的な打撃を受けた。海運・造船を復興させることなくしてわが国の復興はない、という思いこそが、日本財団(旧・日本船舶振興会)の原点。今回、政府が重点投資項目に造船を据えたことは、遅まきながらではあるが高く評価すべきことだと思う。

――​遅まきながら、ですか。

日本の造船業が置かれている状況は、極めて厳しいと言わざるをえない。かつては世界シェアの50%を占めた造船王国も、今や三菱重工業、三井造船(現三井E&S)、川崎重工業といったリーディングカンパニーが次々と商船事業から撤退、あるいは売却して転業してしまった。

現在、日本の造船を支えているのは、今治造船などの中手(ちゅうて)。彼らは専業事業者であり、ほかに転業できる分野を持たないため、まさに命懸けで努力しているが、ドンガラ(船体)の受注生産は中韓との価格競争が厳しく、将来を楽観できる状況ではない。

日本の美徳が足かせに

――​昨秋、日米が造船分野における協力の覚書を結びました。アメリカの造船業は相当な苦境です。この動きをどう見ますか。

アメリカの造船業は、年間わずか4隻程度、世界シェアで言えば1%程度しか造っていない。そのアメリカが同盟国である日本や韓国の力を借りたいと申し出てきた。このチャンスを生かせるかどうかは、政府や企業のスピード感とリーダーシップに懸かっている。

韓国の産業界は意思決定が極めて早く、日本がもたもたしていれば、アメリカの需要も韓国に奪われてしまうだろう 。日本には聖徳太子以来の「和を以て貴しとなす」というすばらしい文化があるが、ことイノベーションに関しては、この日本の美徳が足かせになり、突き抜けた変化を起こしにくい。

ただ、アメリカが望んでいるのが商船の建造であれば、自国のドックの利用と、自国の労働者の雇用を絶対条件にするはずだ。日本の専業造船会社の規模では、その要請に応えていくことは容易ではないだろう。

仮に潜水艦や護衛艦の建造や修繕を望んでいるのであれば、三菱重工など大手の出番になる。日本製鉄による米USスチールの買収問題にも通じる難しさがあるだろうが、政府は相手が求めているタイミングを見極めて、積極的な外交を展開するべきだ。

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