
熱波に押し上げられるかのような株価上昇が続く三菱重工業、川崎重工業、IHIの重工3社は、日本の防衛産業の中核だ。2023年度からの防衛費急拡大の恩恵を目に見えて受けている。
防衛省・自衛隊との契約額が圧倒的に多いのが三菱重工だ。ミサイルや艦船、戦闘機など、陸・海・空・宇宙に関わる防衛装備品を幅広く手がけている。三菱重工の西尾浩CFO(最高財務責任者)は「受注残は積み上がり、防衛事業はまだまだ拡大基調にある」と語る。
契約額2番手の川崎重工は、潜水艦やヘリコプター、輸送機に強い。IHIは航空エンジンや固体ロケットモーターが得意で、3社それぞれに特長がある。
跳ね上がる防衛省との契約額
防衛予算拡大に伴い、三菱重工の防衛省との契約額は23年度に前年度比で4.6倍に跳ね上がった。額は1兆6803億円に上る。川崎重工、IHIも同様に一気に契約額を積み増した。

当然、部門売り上げも急拡大中だ。3社合計の23年度の防衛事業売上高は前年度比23%増の1兆0203億円。24年度にはさらに35%増え、1兆3786億円にまで伸長した。
中期的な見通しも明るい。三菱重工は22年度に5000億円弱だった防衛事業売上高を24~26年度に年間1兆円規模とし、川崎重工は30年度に5000億~7000億円(22年度2400億円)、IHIは30年度に2500億円(同1000億円規模)を見込む。西尾CFOは「今期は大型案件が集中した前年度に比べると受注額は減る見通しだが、それでも、売り上げ以上の受注は取る」と強気だ。