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軍の戦略を支援し、戦闘機の訓練の「仮想敵」役まで担う防衛コンサルの世界。リスクを「商機」としながら拡大する市場の実態と可能性

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軍だけでなく民間も顧客にする防衛コンサルの市場は拡大を続けている(DCStudio / PIXTA)

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防衛費の拡大を背景に防衛市場が活況だ。関連企業の売り上げや利益は急伸し、株価は高騰している。現場でいま何が起きているのか。死角はないのか。特集「防衛産業の熱波 防衛費43兆円の狂騒」で最前線をリポートする。

世界中の防衛費が拡大基調の中、軍事を支える存在として拡大している業界がある。防衛コンサルティング(防衛コンサル)だ。世界市場は急拡大し、企業向けサービスも広がっている。そして、存在感は日本でも高まりつつある。

米空軍の仮想敵部隊アグレッサーを編制も

防衛コンサルのサービスの柱は、軍事・安全保障分野の運用、訓練、技術導入、装備品調達などの支援だ。経営コンサルとの違いは、国家安全保障という極めて高い機密性と専門性を伴う領域を対象とする点にある。顧客は国防省や軍政府機関、防衛装備品メーカー、宇宙・サイバー分野の新興企業まで多岐にわたる。

提供サービスの範囲は、部隊運用や訓練、戦略・政策の策定など軍の中核部分にまで及ぶ。こうした領域に部外のコンサルが入ることについて、意外だと捉える向きもあるかもしれないが、近年の部隊運用では指揮官の判断に欠かせないデータ解析などに関して外部の専門コンサルによる助言が行われることは珍しくない。

戦略・政策策定の支援として、外部有識者会議の運営を請け負ったり、提言の骨子を策定したりすることもある。さらに、「仮想敵(アグレッサー)部隊」を編制してアメリカ空軍の訓練相手を担うケースまである。

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