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〈匿名座談会〉好調の防衛産業の実情を本音で激白 官僚、自衛隊幹部、企業幹部が明かす「実はけっこう厳しい」理由と、欧州市場への参入可能性

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防衛産業の関係者らが現状と課題を赤裸々に語った(画像:istocksdaily/Getty Images)

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防衛費の急拡大を背景に防衛市場が活況だ。関連企業の売り上げや利益は急伸し、株価は高騰している。ただ、急激な変化に伴って見えてきた業界の問題点や課題もあるようだ。防衛政策や防衛産業に直接かかわってきた、中央省庁幹部、自衛隊幹部、元将官(自衛隊最高位階級)経験者、元防衛省局長、防衛関連企業幹部に本音を聞いた(取材を基に座談会形式で構成)。

 

[参加者PROFILE]
中央官庁幹部
自衛隊幹部
元将官(将官=最高位階級の自衛官)
元防衛省局長
防衛関連企業幹部

――防衛産業の活況の源泉である防衛予算がGDP比2%の規模まで引き上げられる方針ですが、どう見ますか。

中央省庁幹部:ヨーロッパの国がGDP比で3.5%や5%と言っているときに、「われわれは2%です、平和国家ですから」という姿勢でいていいのだろうかと疑問に感じる。2%で足りるとは思えない。アメリカに言われるから引き上げるということではなく、中国、北朝鮮、ロシアという核保有国に囲まれている国として、自分たちでどう考えるかということが問われている。

ハイバリューと廉価のバランス

自衛隊幹部:予算規模が急拡大した2023年度の予算案を作る際は、実はかなり苦労した。防衛省の予算は、陸海空の自衛隊がそれぞれ必要なものを挙げて、積み上げて作っていく。限られた予算の中で削って削って何とかしてきた歴史がある。それが23年度に突如「要るものは全部挙げろ」と言われた。「急に欲しいものを全部言えと言われても難しい」と戸惑った。対応するのが大変だった。

それから3年後の現在は、23年度をもはるかに上回る予算規模になった。しかし今ではそれでも足りなくなってきているというのが本音だ。装備品が急速に高度化、高額化していることに加え、インフレや円安の影響もある。GDP比2%になれば足りるのかというと、なかなか厳しい。

ハイバリューアセットの調達についての考え方も、変えていかざるをえないかもしれない。抑止力を保つためには、高額で強力なハイバリューアセットは必要ではある。一方で、ドローンのような廉価にもかかわらず致命的なダメージを与えられるような新しいアセットが出てきているのも事実だ。バランスの取り方をしっかり考えていかなければならない。

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