
拡大された日本の防衛費は、はたして適正に使われているのだろうか。世界の軍や軍事産業を30年以上にわたって取材してきた筆者は、防衛省と自衛隊には、各国の「軍隊」なら当たり前の知識や常識が欠如しているのではないかと危惧している。その理由について、比較的説明しやすい陸上自衛隊の銃に焦点を当てながら紹介したい。
海外で使われなくなったような旧式を高額調達…
まず取り上げたいのが、陸自が1999年に採用した短機関銃「9ミリ機関拳銃」について、だ。
開発したのはミネベア(現・ミネベアミツミ)で、個人防御用として採用した。ただ、この当時すでに防弾ベストが普及しており、9ミリ拳銃弾では威力不足だったのではないかと筆者はみている。
他国の軍隊が野戦用にこうした短機関銃を採用していたのは1950年代ぐらいまでだ。にもかかわらず、陸上自衛隊は外国製を排除し、単価が44万円と高額なこの銃を採用したのだ。しかも、価格は海外製よりも1桁高かった。
このほか、ミネベアがライセンス生産していた自衛隊の「9ミリ拳銃」は品質に問題がありそうだ。本来軍用拳銃の寿命は数万発程度だが、これは2千発程度でフレームに亀裂が入る、と海上自衛隊の特殊部隊「特別警備隊」のOBが筆者の取材に証言している。通常、自衛隊員は、技量確認のため年に50発の検定射撃しか行わない。一方、特殊部隊では毎日数百発の射撃が当たり前だから、このことが発覚したのだという。後継の新型拳銃はさすがに輸入品に切り替わっている。
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