〈異色の収益構造〉JR九州の多角化戦略を生んだのは「挫折の連続」。次はデータセンター事業に参入
九州を地盤とするJR九州は10月、データセンター事業に参入することを発表した。福岡県久留米市にてデータセンターの建設を開始し、2027年4月の運営開始を目指す。総受電容量1メガワット、面積180㎡、1階建ての小型のモジュール構造となる。
グループ会社のJR九州電気システムが保有する「新幹線光ファイバ網」を活用し、低遅延で高信頼な通信サービスを提供する。この事業は自社のインフラを活かした展開であり「収益源多様化の一環だ」と、JR九州のIR担当者は話す。
JRグループの中でも「非鉄道」がメイン
JR九州は、JR東日本の山手線やJR東海の東海道新幹線のような「ドル箱路線」を持たない。このため、1987年に国鉄が分割民営化された際に発足して以来、経営の多角化を使命づけられてきた。
現在のJR九州はJRグループにおいて、ダントツで多角化が進んでいる。
JR九州の営業収益(売上高)に占める鉄道事業の割合は、25年3月期で30%と極めて低い(比率は事業セグメント間取引消去前の数字で算出)。不動産・ホテル事業、流通・外食事業など、非鉄道の事業が収益の過半数を占める構成となっている。

JR九州と同様に株式上場しているJRグループ他社の鉄道事業の割合は、JR東日本67%、JR西日本61%、JR東海81%となっている(いずれも25年3月期)。JR九州の収益構造の異色ぶりがわかる。
ただ、この姿は模索を繰り返した結果だ。現在の収益柱である不動産事業やホテル事業のように成功を収めた事業がある一方、そこまでの道のりは数々の失敗に彩られている。




















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