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パナソニック「低収益」続いた住宅設備事業を売却、ようやく現実味帯びてきた楠見社長の経営改革プランは加速できるか

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11月17日に東京都内で会見したパナソニック ホールディングスとYKK。両社で住宅設備分野の「リーディングカンパニー」を目指す(記者撮影)

「リソース、ノウハウや技術も含めて、自前でやっていくよりもYKK APさんと組む方が圧倒的に実効性が高く、スピードも上がると判断した」

11月17日、パナソニック ホールディングス(HD)は傘下で住宅設備を手がける事業会社のパナソニック ハウジングソリューションズを、同じく住宅設備会社のYKK APを抱えるYKKに売却すると発表した。

2026年3月にもパナソニックHDが保有するパナハウジング株80%をYKKに譲渡する。残りの株式20%はパナソニックHDが引き続き保有する。譲渡価額は非公開だが、パナソニックHDの25年度業績に対して、営業利益ベースで約600億円のプラス影響を見込んでいる。

会見したパナソニックHDの隅田和代グループCSO(最高戦略責任者)は、事業売却の狙いについて冒頭のとおり説明した。

パナソニックHDは国内外で1万人超の人員削減をはじめ、大規模な経営改革を進めている。このタイミングでグループ全体の売上高の約5%(4795億円、連結ベース)を占める住宅設備事業の売却に踏み切ったのはなぜか。

事業立地が「悪い」事業

パナソニックHDは今年2月に発表した経営改革プランの中で、住宅設備事業を「事業立地見極め事業」に指定していた。これは「再建の可否を見極め、再建が見通せない事業は撤退やベストオーナーへの事業承継の方向付けと整理を加速」(楠見雄規・パナソニックHD社長)するという位置付けだ。

成長が見通せず、ROIC(投下資本利益率)がWACC(加重平均資本コスト)を下回る、テレビや調理家電事業などの「課題事業」とともに、「25年度中に方向付けを行う」(楠見社長)ことになっていた。

実際、パナハウジングの利益率はグループ全体が目標としている営業利益率10%とは程遠い水準だ。同社の決算公告を基に計算すると、直近の24年度は1.94%しかない(単体ベース)。

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