TOTOの稼ぎ頭に「半導体向け部品」が急浮上→国内住宅設備を上回り中国苦戦をカバー、かつての不採算事業が"利益率40%"へ大転換までの舞台裏

「中国市場は上向く要素が考えにくい」
住宅設備メーカー大手・TOTOの田村信也社長は、中国の住宅設備事業について厳しい表情で語った。近年、TOTOにとって中国は有望市場だった。2021年度の中国大陸事業は営業利益158億円と、全社営業利益の3割を稼いでいた。
しかし中国の住宅市況悪化が直撃すると、逆回転が始まる。24年度の中国大陸事業は営業損失36億円へ転落。25年度も赤字が拡大する見込みで、工場閉鎖などの構造改革を経て26年度の黒字浮上を目指す途上にある。
厳しい状況下、新たな稼ぎ頭として急浮上したのが半導体製造装置向け部品を中心に手がける「新領域事業」だ。前24年度の部門営業利益は204億円となり、利益率40%に達した。今25年度はTOTOの連結営業利益525億円のうち新領域事業は265億円を見込んでおり、日本住設の225億円を上回る計画となっている。
NANDの高性能化が追い風
新領域事業の売上高の約7割を占めるとみられるのが、半導体製造装置で使用される「静電チャック」という部品。静電気の力でウェハーを吸着して固定する台で、ウェハーの温度をコントロールする機能を持つ。

半導体製造工程の中では、ウェハー表面の不要な部分を除去するエッチングなどで用いられる。
メモリーとロジックいずれの半導体でも使用されるが、TOTOではメモリー向けの比率がやや多く、NAND型フラッシュメモリーの3次元積層化による高性能化が追い風となっている。
この「3D NAND」と呼ばれる新技術では半導体製造装置内の環境が以前よりも過酷になるため、静電チャックの交換需要が高まっているのだ。

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