SMCが半導体用チラーで狙う「サムスンとTSMC」 高田社長が大号令、参入46年目に訪れた"商機"

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チラーに参入したのは1978年、業界トップ級のシェアを握る(上写真撮影:梅谷秀司、下写真:SMC)

「サムスンやTSMCに対して攻勢をかけていくというか、売り込み活動を強化していく」

SMCの高田芳樹社長は5月、決算説明会でそう宣言した。ここで言及したのは、同社の主力製品で世界トップシェアを誇るFA(ファクトリーオートメーション)向け空圧制御機器ではない。

何を売り込むのかといえば、半導体を製造する過程で、シリコンウェハーの温度を一定に保つために用いる「チラー」という装置だ。生産とアフターサービスの体制を強化するため、チラーを中心とした半導体向け事業で台湾と韓国、欧州に計220億円の設備投資を行うと発表した。

SMCは半導体製造向けチラーで、すでに世界トップクラスのシェアを持つとされる。とはいえ食品工場や入浴施設向けなどの用途を合わせたチラー事業の売上高は500億円規模で、グループ売上高7768億円(2024年3月期)の約6%に過ぎない。にもかかわらず2024年度の設備投資額1200億円のうち、2割近くをチラーなどに充てる方針だ。

「今、サムスンで使っている競合のチラーと仕様を比較したら、うちの製品のほうがいろいろな部分でかなりよい」と自信満々の高田社長。なぜこのタイミングで、半導体大手2社をターゲットに勝負するのだろうか。

消費電力は競合の半分以下

チラーが主に使われるのは、電子回路を形成するための「エッチング」と呼ばれる工程だ。ウェハーにガスから生じさせた高温のプラズマを当てて、不要な部分を削る。

この時に熱でウェハーが暖まってしまうと、断面が波打ち、正確に微細加工できなくなる。ホールケーキを包丁で切った際、スポンジ部分がゆがみ、刃にクリームがべったりと付着するようなイメージだ。

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