SMCが半導体用チラーで狙う「サムスンとTSMC」 高田社長が大号令、参入46年目に訪れた"商機"

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半導体の製造プロセスが高度化しているのも追い風だ。先端チップは複雑な回路を書き込むため、エッチングをはじめとした工程数が増える。生産性を上げようと、一つの製造ラインに組み込む製造装置の台数が増えており、付帯設備であるチラーの需要も急拡大している。

チラーは加工用の機械と共に使用するため、半導体製造装置のメーカーが仕入れ、自社製品とセットでエンドユーザーへ出荷するケースが多かった。1978年から同事業に参入しているSMCも、主な顧客は長らく大手製造装置メーカーだった。

ところが、最近は半導体メーカー側が直接、チラーを選びたがる傾向が強まっているという。より素早く、効率的に最適解を探る目的で、「餅は餅屋」に任せる発想だ。SMCがサムスンやTSMCに照準を定めたのは、こうした背景もある。

韓国に新工場建設

高田社長は先の説明会で、TSMC内のチラーのシェアが現状40%ほどあると明かした。さらに切り替えを進めさせる考えだ。一方、サムスンでの採用割合はまだ少ないとみられる。市瀬課長は「現地での生産・サービス体制が整っていなかったから」と説明する。

保全などの利便性を考慮し、半導体メーカーは自国内の生産品を好む傾向があるからだ。SMCは今回、約90億円を投じて韓国でのチラーの生産とアフターサービスを担う新工場を建設する。2025年には現地での製造が始まる予定だ。

市瀬課長は「チラーは当社の新たな柱に育ちつつある。担当者としては、2026年度に売上高を現在の2倍まで伸ばしたい」と力を込めた。2026年度に売上高1兆円の目標を掲げるSMC。成長の一翼を担えるだろうか。

石川 陽一 東洋経済 記者

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いしかわ よういち / Yoichi Ishikawa

1994年生まれ、石川県七尾市出身。2017年に早稲田大スポーツ科学部を卒業後、共同通信へ入社。事件や災害、原爆などを取材した後、2023年8月に東洋経済へ移籍。経済記者の道を歩み始める。著書に「いじめの聖域 キリスト教学校の闇に挑んだ両親の全記録」2022年文藝春秋刊=第54回大宅壮一ノンフィクション賞候補、第12回日本ジャーナリスト協会賞。

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