CO2を吸収して内部に閉じ込めるコンクリート。鹿島などが生み出した新技術が大阪・関西万博の目玉に。そのメカニズムや実用化への課題とは

連日、大勢の入場者でにぎわう大阪・関西万博。大阪湾の海辺に近い西ゲート広場付近に、カーボンリサイクル技術の“粋”を集めた建物がある。
鹿島が施工した「サステナドーム」。地上1階、建物の高さ5.45メートルで奥行き23メートル、幅18メートルの白亜の建物だ。
7月18日から27日にかけて、ここで「KAJIMAなぞときワークショップ サステナドームの怪人」と題したイベントが予定されている。小学校高学年生や中学生らが地球温暖化の原因やCO2活用の重要性について学びながら、CO2吸収コンクリートなど先進的な技術を手がかりに謎を解いていくというのがイベントのコンセプトだ。
その舞台であるサステナドームの施工で用いられているのが、CO2を吸収・固定する「CUCO-SUICOM(クーコスイコム)ショット」と呼ばれるユニークなコンクリート材料である。
コンクリートの常識打破に挑戦
鹿島によれば、高炉スラグと呼ばれる製鉄所から発生した副産物を用いた環境配慮型のコンクリートと、新たに開発したCUCO-SUICOMショットを組み合わせることにより、従来のやり方でドームを施工した場合と比べてCO2排出量の約7割を削減できたという。
いったいどのような努力が結実したのか。
コンクリートを構成する材料の一つであるセメントは、製造過程で大量のCO2を排出する。原料となる石灰石(炭酸カルシウム)を約1400度の高熱で焼成し、セメント(酸化カルシウム)は製造される。その過程で発生したCO2は大気中に放出される。その量はセメント1トン当たり700キログラム以上にもなる。つまり、コンクリートは製造過程で大量のCO2を排出するのが宿命とされ、やむをえないものとみなされてきた。
鹿島はその常識の打破に挑戦した。
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