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価値創出に必要な資本コストを上回る利益獲得。サステナ担当者が知っておきたい投資家視点の企業価値向上②

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企業価値
価値創出に重要な資本コスト(写真:freeangle / PIXTA)

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いよいよ2027年から段階的に非財務情報の開示が始まる。企業価値向上を支援することが狙いの1つだが、現状は企業価値の1つの目安であるPBR(株価純資産倍率)が1倍割れとなっている企業も多く、簡単な道のりではない。ただ、企業側にも企業価値についての基本的な理解ができていない場合も多く、今こそ企業価値向上について幅広い層で基本的な理解が必要だ。そこで、この連載では企業価値向上に必要な資本コストなどの基本的な考え方をベースにESG(環境・社会・企業統治)などとの関連性についてまとめていく。

第2回は、価値創出に必要な資本コストを上回る利益獲得について解説する。

【配信予定】
③投資家の想定資本コストを意識した経営が重要(11月26日)
④株価に影響を与えるサステナビリティーの取り組み(11月27日)
⑤ESGの取り組みで企業の資本コストが低減する(11月28日)

価値創出に重要な資本コストの考え方

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前回は投資家視点の1つとして、企業の株主資本コストを上回る利益の獲得とその成長が、株主資本簿価に付加される価値の創出において重視されていることを述べた。ここでは、その根拠について、2014年に公表された伊藤レポートの提言の理論的基礎にもなっている「残余利益モデル」を用いて説明する。正確を期すため若干専門的な説明になるので、不慣れな方はこのパートは飛ばしていただいて構わない。

株主価値は、配当割引モデルを用いると、将来各期の予想配当額を株主資本コストで割り引いた現在価値合計で表現できる。このとき、「当期末の株主資本簿価は、前期末の株主資本簿価に当期利益を加えて配当額を控除したものに等しい」という会計上の「クリーンサープラス関係」を適用すると、「残余利益モデル」に基づく株主価値の評価式を導くことができる(下図・式1)。

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