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〈DeNA南場会長の直言〉日本勢が世界で勝つために必要なこと。「AIはバブルではない」…海外マネー呼び、勝たせる試合にスタートアップを巻き込む

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南場智子(なんば・ともこ)/ディー・エヌ・エー(DeNA)会長、デライト・ベンチャーズ マネージングパートナー。津田塾大学卒業後、マッキンゼー・アンド・カンパニーに入社。同日本支社パートナーを経て1999年にDeNAを設立。2015年から横浜DeNAベイスターズオーナーも兼任(撮影:梅谷秀司)

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2022年、岸田文雄政権(当時)が策定した「スタートアップ育成5か年計画」では、スタートアップを10万社、ユニコーン企業(評価額10億ドル超の未上場企業)を100社創出する目標が掲げられた。しかし、25年のスタートアップは2.5万社ほどとされ、ユニコーン企業も8社にとどまり、3年前から2社しか増えていない。
欧米や中国でAI領域のスタートアップに対する資金投入の勢いが増す中、日本から世界的なプレーヤーを生み出せるのか。経団連副会長やベンチャーキャピタル(VC)のマネージングパートナーとして、スタートアップ企業、起業家の支援に取り組んできたDeNAの南場智子会長に、課題と展望を聞いた。

日本人が世界で戦うには2段階の壁

――自ら立ち上げたデライト・ベンチャーズで、米サンフランシスコ・ベイエリアでの起業を支援するプログラムを始めました。

アメリカ西海岸はスタートアップの聖地だ。競争が激しい分、成長スピードも速い。起業家の野心の規模感も違い、「やることのスケールが小さかったな、発想のタガを外してみようかな」と思わせる空気がある。日本で何かを作り込む前に、現地で起業に挑戦することは、グローバルな成功をつかむうえで有効な手段の1つだ。

そこで勝負しようとしている日本人は意外と少ない。中国、インド、韓国からの移民は多く、助け合うコミュニティがある。日本では、優秀な人材が大企業にロックインされていることも多い。伝統的な大企業を中心とする経済から出て、さらに日本から出るとなると、2段階の大きな壁がある。

現地では日本からイノベーションが出てくることを期待しているキャピタリストや起業家、わずかだが日本から飛び込んでネットワークを自ら作っている起業家たちがいる。プログラムでは、この2種類のメンターたちがサポートして、大きいスケールを描く環境を提供したい。

日本で教育を受けて日本に愛着を持つグローバルのリーダーがいれば、次のリーダーも出てきやすくなる。日本のスタートアップエコシステムにも好影響があるはずだ。

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