財源不足も深刻だ。国土交通省の試算では、2018年度からの約30年間で必要とされるインフラ維持管理・更新費は最大約194兆円に上る。一方で、インフラ関連予算は減少の一途をたどっている。
ピークだった1992年度の当初予算約11兆円から25年度には約6兆円へとおよそ半減している。災害の激甚化を踏まえ、ここ数年はやや増加傾向にあるものの、将来見込まれるインフラ維持管理・更新費を考えると、持続可能ではないだろう。
このような現状に加え、気候の二極化、災害の激甚化、がインフラ管理の負荷を押し上げていることは言うまでもない。
データを駆使し、問題発生に先回り
こうした中、少ない人員でインフラ管理を効率的に行う必要性から、自治体や企業の現場では「データを駆使することで問題発生に先回りしたい」という声が聞こえるようになった。こうした声を受け、近年導入が進んだ技術の一つが、高解像度降水レーダーである。250m四方・10分間隔で雨雲の動きを最長30時間先まで描き出し、必要となるさまざまな対応への事前判断を支援している。
人手と財源が限られる中で、水インフラ管理は「点検・監視・予測・最適化」を自動化・半自動化へと進めていかなければならない。「目で見て回る」「現場で起きてから対処する」というやり方では回らなくなることは明らかで、「何かが起きる前にデータで兆しをつかむ」ことへの移行が求められるようになりつつある。そのためには、可視化、予測、自動化という3つの機能が核となる。
第1に可視化の要となるのがデジタルツインである。これは、現実の流域や施設とそっくりな仮想モデルをコンピューター上に作り、降雨、流入、貯水、水需要、避難導線、下水処理状況などを可視化し、予測のシミュレーションを立てる新たな技術である。こうした予測技術を活用することで、ダムの事前放流などを通じて豪雨時のインフラへの過度な負荷を軽減することが可能となる。
未来を映像で共有できるため、多くの関係者の間でスピーディーな合意形成を図ることができることも特長だ。また、高価な新設備を一気に導入せずとも、既存データと一部のセンサーの追加だけで試行を始められるという点でも、「お金がない」という自治体や事業者にとってのハードルを下げており、導入が加速しつつある。




















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