第2に、予測と運用最適化を担うのがAI(人工知能)だ。流域のあらゆるデータを収集・分析することが可能になれば、高精度な気象予測と流出モデルを組み合わせ、例えばダムの放流・貯留、下流の取水・排水、都市排水などの複数の目的を同時に評価し、短時間のサイクルで最適な案を提示することもできる。
これはいわば、熟練者の勘所をモデル化することを意味している。担当者が代わっても判断の再現性が保たれ、引き継ぎに要する時間も圧縮できる。結果として、非常時の意思決定が速くなり、平時の運転の無駄が減る。このように、データやAIは「人が本当に判断すべき一手に集中できる状態を作る」役割を果たすだろう。
実は、すでにこのようなプラットフォームの実装は進んでいる。例えば、日立製作所が提供するシミュレーション技術「DioVISTA」もその一つだ。降雨予測から流出、河川への影響、ダムの貯留・ゲート操作、下流域・都市部の氾濫状況もシミュレーションで事前に把握できる。3次元の地図上で堤防の決壊や河川の氾濫による洪水の様子を可視化でき、ハザードマップの作成や、避難計画、建物の浸水防止対策の立案に利用されている。
ロボットやセンサーの役割
第3に、自動化や省人化を支えるのがロボットやセンサーである。下水管などのガスが滞留しやすい施設の巡視は、ロボットやドローン、固定カメラとセンサーに置き換えられつつある。
老朽化の監視にもAIは有効だ。映像や音、振動などのデータが収集され、AIの異常検知が「いつもと違う状況」を拾い上げ、少人数で広域のインフラを見ることができる。人が危険箇所に入る回数が減るだけでなく、点検の抜け漏れが減り、管路の損傷などを未然に防止できる確率が飛躍的に高まる。これは事故対応費や補修費の圧縮につながり、そして慢性的な現場の人手不足の解消につながる。




















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