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〈50年の歴史に幕〉東映が「スーパー戦隊シリーズ終了」へ、疲弊する制作現場と低迷した玩具売り上げを救う新ヒーローは誰?

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戦隊ヒーロー
スーパー戦隊シリーズは1975年の「秘密戦隊ゴレンジャー」から50年続いてきた(写真:ロイター/アフロ)

「50年目にしてナンバーワンの戦隊を宣言する。すべての戦隊に引導を渡す。記念碑というリスペクトであると同時に、墓碑という決別でもある」

「仮面ライダー」シリーズなど多くの特撮番組の制作に携わってきた東映の白倉伸一郎氏は昨年12月、このようなメッセージを発信した。はたして予言だったのだろうか。

東映が制作し、テレビ朝日が放送している特撮ヒーロー番組の「スーパー戦隊」シリーズ。誕生から50年という節目となった今年の10月末、現行作品の「ナンバーワン戦隊ゴジュウジャー」を最後に放送終了となることが報道された。

現時点で東映とテレビ朝日は明言を避けているとはいえ、放送終了はほぼ確実視されている。関係者はスーパー戦隊を有終の美で飾りたいはずだ。しかし、その実現にはほど遠いのが現状だ。

昨今のコンプラ意識とのギャップ

「ファンならびに関係各位に多大なるご迷惑をおかけしたことを重大な責任ととらえ、取締役会長、取締役社長ならびに担当役員は、その報酬の一部を自主返納することといたしました」

東映が11月17日、吉村文雄社長の名前で従業員向けに報酬の自主返納を告知したことが取材でわかった。理由として「『ナンバーワン戦隊ゴジュウジャー』に関わる一連の出来事で、番組ならびにスーパー戦隊シリーズのブランドイメージを損なった」ことを挙げている。

「一連の出来事」とは、未成年飲酒問題などで「ナンバーワン戦隊ゴジュウジャー」の出演者が降板したことを指すとみられる。11月8日に東映が公表した「出演者に関するお詫びとご報告」では、「番組制作に関わるすべての関係者のコンプライアンス順守の徹底」を強調した。

スーパー戦隊の終了が報道されると、過去作品の出演者やファンからは驚きの声が上がった。だが業界では、2010年代後半からたびたび噂されてきたことだった。背景にあるのは、コンプライアンス順守が叫ばれる昨今、もはや時代錯誤となった制作現場の過酷さだ。

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