AI分野で後れを取っていると何年も批判されてきたグーグルが、オープンAIやアンソロピックなどのスタートアップとの競争で巻き返している。
グーグルが18日に発表したAIの新モデル「Gemini(ジェミニ)3」は、ソフトウェアプログラムの作成、メールの整理、企業の文書分析支援などで従来モデルよりも優れた能力を持つ。旅行の日程、歴史、芸術に関するリクエストへの応答には、画像・動画とテキストを組み合わせることも可能だ。
グーグルの最大のライバル
同社による最新AIモデルのリリースを受けて、AI開発競争の火付け役となった企業には不安が広がっている。
AI領域でグーグルの最大のライバルとなっているオープンAIやアンソロピックは、自動コーディングや画像生成といったタスクの処理性能でグーグルに先を越された場合、自社のビジネスに悪影響が出るのではないかと従業員が懸念するようになっていると、内部事情に詳しい2人の関係者が明かした。
「グーグルの規模と存在感、さらにインターネット検索における先行者利益を考えると、今後はジェミニが市場シェアを奪い、オープンAIなどの企業が劣後する可能性がある」と、ジョーンズトレーディングのチーフマーケットストラテジスト、マイク・オルークは指摘する。
“ジェミニ有利”の展開となれば、オラクルやマイクロソフトといった企業の展望にも疑問が生じる可能性があるという。オープンAIがこれらの企業に対し、コンピューティング能力の確保で巨額の支払いを約束しているためだ。
加えてAIブームは、「急増するコストを正当化できるだけのビジネスチャンスをもたらせるのか」という疑問にも直面している。現在のAIシステムは、主に従来のインターネット検索と同等のタスクを行ったり、コンピュータープログラミングの自動化でソフトウェアエンジニアを支援したりするのに利用されている。
ところが、この技術は高価なスーパーコンピューターを詰め込んだ巨大なデータセンターによって稼働しており、業界は2030年までにその構築に7兆ドル(約1100兆円)近い巨費を投じることになるとマッキンゼー・アンド・カンパニーは予測している。
アンソロピック、オープンAI、マイクロソフト、グーグルといった企業が、そうした支出をまかなうのに十分な売り上げを上げられるかどうかについて、ウォール街全体に懐疑的な見方が広がっているのだ。



















