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「グーグル研究者のノーベル賞」受賞が相次ぐ意味 AI研究の世界的な功績は"両刃の剣"だ

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アルファベット(グーグル)のスンダー・ピチャイCEO(写真:Jason Henry/The New York Times)

オンライン検索事業が毎年稼ぎ出す多額の資金のおかげでグーグルは、いつの日か世界を変えるような大規模研究プロジェクトを長期にわたって推進することができている。 

ノーベル賞委員会は9日、ビッグなアイデアを追い求めるグーグルに大きな栄誉を与えた。ノーベル化学賞を受賞した3人の研究者には、グーグルの主力AI研究所ディープマインドで最高経営責任者(CEO)を務めるデミス・ハサビスと同研究所の科学者ジョン・ジャンパーが含まれた。AIを通じて人体の理解を深め、病気を克服しようとする取り組みが評価された。 

グーグルの2人の科学者がノーベル賞を受賞する前日には、2人の人物がノーベル物理学賞を受賞したが、そのうちの1人はグーグルの元副社長で研究者のジェフリー・ヒントンだった。AIに関する先駆的な研究が授賞理由となった。

受賞の高揚感に水を差すもの 

これらのノーベル賞受賞は、AIの果たす役割が従来のハイテク産業の領域をはるかに超えて拡大していることを示しており、科学と経済のほぼすべての分野でシリコンバレーが影響力を持っていることをあらためて知らしめた。 

ワシントン大学のコンピューターサイエンス名誉教授オーレン・エチオーニは、「今回のノーベル賞は、AIが科学の世界でどれほど影響力を持つようになったかを意識させるものだった」と話す。 

だが、こうした長期プロジェクトの推進を可能にしてきたグーグルの事業の成功が反トラスト(独占禁止)当局によって脅かされているという不安が、ノーベル賞受賞の高揚感に水を差している。また、グーグル関係者のノーベル賞受賞が相次いだことで、テック業界は強力なAIシステムの構築を全力で追求することがもたらす影響に十分な注意を払っていない、という懸念が思い返されることにもなった。

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