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【日立の送配電事業】異例の“受注残7兆円”で工場フル稼働→「誰もブームを予想できなかった」日立エナジートップが明かす熱狂の舞台裏
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日立エナジーの受注残は約7兆円、グループ内で急速に存在感を高めている(写真:日立製作所)
日立製作所のグループ全体の約26%を稼ぎ出すのが、送配電事業を手がける日立エナジーだ(2025年3月期、調整後営業利益ベース)。世界的な電力需要の高まりを受けて、直近の受注残は476億ドル(約7兆円)に達する。AIバブルなどで盛り上がる送配電事業の実情を、昨年7月から日立エナジーを率いるアンドレアス・シーレンベックCEOに聞いた。
需要と供給が一致していない
――現在のエネルギー市場をどう見ていますか?
エネルギー市場は強い状態にある。市場は3~5年前まで横ばいの状態が続いていた。業界全体で過剰な生産能力があり、工場閉鎖や生産能力を削減しており強いブームとは言えなかった。
しかし現在のエネルギー市場は、当初予測の3倍まで拡大している。需要と供給が完全に一致していないことは明白だ。
当社は現状、受注残が約500億ドルあり、6年以上先まで見通せる状況にある。これは数十年間みられなかった“異例”の状況であり、工場のフル稼働で供給に努めている。
業界最大級の投資も実施しており、過去3年間で30億ドル、さらに2027年までに60億ドルを生産能力増強へ投じる計画だ。変圧器だけでも15億ドルの投資を予定している。
通常、顧客は10年、15〜20年といった長期的な需要を元に計画を立てている。こうした環境で突然、生産能力を3〜4倍へ拡張する必要に迫られており、資本的支出(CAPEX)も膨らんでいる。今後10~15年、あるいはそれ以上経っても以前の状態に戻ることはないだろう。

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