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〈5年で1.8兆円〉日立製作所「アメリカに巨額投資」続ける真意、トランプ政権"急接近"の舞台裏

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日立製作所の德永俊昭社長はアメリカ市場への投資拡大に意欲を見せた(記者撮影)

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日立製作所は9月8日、アメリカ東部のメリーランド州で最新鋭の鉄道車両工場を稼働させた。広大な国土ゆえ車社会のアメリカでは、鉄道の存在感が薄い。それでも日立が鉄道事業を強化する背景には、関税政策などの不確実性が高まる中で「地産地消ビジネス」を確立させる狙いがある。
今回は、①工場ルポ、②鉄道事業の北米成長戦略、③地産地消ビジネスモデルの実情の3本で、その全貌を追っていく。

鉄道車両工場の開所式が開かれる直前、9月5日にアメリカでもう1つ、日立の巨額の工場投資が発表された。10億ドル(約1480億円)超を投じて、新たに変圧器工場を建てるというもので、バージニア州にある変圧器工場の隣接地も含まれる。

電力インフラの老朽化や生成AI(人工知能)向けデータセンターの急増を背景に、日立の送配電事業を手がける日立エナジーは2020〜2027年にかけて世界で90億ドル(約1兆3320億円)を投資する計画を掲げており、アメリカでもペンシルベニア州などで工場を増強するとしている。

アメリカへの投資を加速

「アメリカは今まさに老朽化したインフラへの対応、生成AIの普及によって急増するエネルギー需要への対応、さらに製造業における雇用確保とスキルギャップの解消に取り組んでいる」。鉄道車両工場の開所式のあいさつで、日立の德永俊昭社長はそう語った。

その後の記者会見では、過去5年間でアメリカに120億ドル(約1兆7760億円)を投資してきたとし、「2030年頃までに同等、あるいはそれ以上」へ加速させると意欲を示した。

製造業回帰を掲げ、日本から5500億ドルの投資の合意を取り付けたトランプ政権は大歓迎だろう。実際、ホワイトハウスは変圧器工場の新設発表後、Xですぐさまこれに反応。あたかもトランプ政権の手柄であるかのような投稿で“祝福”した。

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