
日立がイギリスの高速鉄道車両を初めて受注してから20年――。ついに鉄道事業の売上高は1兆円を突破した。このうち9割を海外で稼ぐ。
ここまでの道のりは長かった。2015年にはイタリア大手鉄道信号メーカーのアンサルドSTSおよび鉄道車両を手がけるアンサルドブレダを買収。2024年にはフランスの防衛・航空宇宙機器メーカー、タレスの信号事業の買収が完了した。
信号や制御事業が鉄道事業の6割を占めるようになり、2025年3月期売上高は1兆1940億円と初めて大台に乗った。
受注残は6.2兆円へ積み上がる
現在、日立は50カ国で鉄道事業を展開する。生産拠点は10カ所、研究開発拠点は25カ所に構える。同事業を2023年4月から率いるのは、買収したアンサルドブレダ出身のイタリア人、ジュゼッペ・マリノ日立レールCEO(最高経営責任者)だ。アメリカ東部メリーランド州の新工場で組み立てられる車両は、イタリア拠点の開発部隊がデザインを手がけている。
あるイタリアメディアは新工場を「イタリアのデザインとエンジニアリング、日本の製造技術の融合」と表現する。実際に現場で働くスタッフは多国籍だ。
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