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【アメリカを攻める】日立の鉄道"苦節20年"から売上高2兆円へ爆進――受注残6.2兆円の先に狙う新ビジネス、エヌビディアとの協業で何が変わる?

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日立レールのジュゼッペ・マリノCEO(左)と日立製作所の德永俊昭社長(右)(記者撮影)

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日立製作所は9月8日、アメリカ東部のメリーランド州で最新鋭の鉄道車両工場を稼働させた。広大な国土ゆえ車社会のアメリカでは、鉄道の存在感が薄い。それでも日立が鉄道事業を強化する背景には、関税政策などの不確実性が高まる中で「地産地消ビジネス」を確立させる狙いがある。
今回は、①工場ルポ、②鉄道事業の北米成長戦略、③地産地消ビジネスモデルの実情(10月3日配信予定)の3本で、その全貌を追っていく。

日立がイギリスの高速鉄道車両を初めて受注してから20年――。ついに鉄道事業の売上高は1兆円を突破した。このうち9割を海外で稼ぐ。

ここまでの道のりは長かった。2015年にはイタリア大手鉄道信号メーカーのアンサルドSTSおよび鉄道車両を手がけるアンサルドブレダを買収。2024年にはフランスの防衛・航空宇宙機器メーカー、タレスの信号事業の買収が完了した。

信号や制御事業が鉄道事業の6割を占めるようになり、2025年3月期売上高は1兆1940億円と初めて大台に乗った。

受注残は6.2兆円へ積み上がる

現在、日立は50カ国で鉄道事業を展開する。生産拠点は10カ所、研究開発拠点は25カ所に構える。同事業を2023年4月から率いるのは、買収したアンサルドブレダ出身のイタリア人、ジュゼッペ・マリノ日立レールCEO(最高経営責任者)だ。アメリカ東部メリーランド州の新工場で組み立てられる車両は、イタリア拠点の開発部隊がデザインを手がけている。

あるイタリアメディアは新工場を「イタリアのデザインとエンジニアリング、日本の製造技術の融合」と表現する。実際に現場で働くスタッフは多国籍だ。

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