有料会員限定

【潜入ルポ】日立製作所「アメリカ攻略」の新拠点、ワシントン近郊に構えた鉄道新工場の全貌――やけに"映える"工場に導入された4つのポイント

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

有料会員限定記事の印刷ページの表示は、有料会員登録が必要です。

はこちら

はこちら

縮小
アメリカ東部で本格稼働させた日立の鉄道新工場(記者撮影)

特集「グローバル日立の野望」の他の記事を読む

日立製作所は9月8日、アメリカ東部のメリーランド州で最新鋭の鉄道車両工場を稼働させた。広大な国土ゆえ車社会のアメリカでは、鉄道の存在感が薄い。それでも日立が鉄道事業を強化する背景には、関税政策などの不確実性が高まる中で「地産地消ビジネス」を確立させる狙いがある。
今回は、①工場ルポ、②鉄道事業の北米成長戦略(10月2日配信予定)、③地産地消ビジネスモデルの実情(10月3日配信予定)の3本で、その全貌を追っていく。

メリーランド州ヘイガーズタウンの式典会場には、アース・ウィンド・アンド・ファイアの「セプテンバー」が流れていた。祝辞に続いてテープカットが行われると黒幕が上がり、新しい車両がお披露目された。

日立製作所は、アメリカで鉄道車両の新工場を本格稼働させた。式典には日立の東原敏昭会長や德永俊昭社長ら経営陣のほか、州政府や都市交通当局の関係者が集結し、お祭りムードに包まれた。

日立の技術が詰まった戦略的工場

首都ワシントン近郊の人口約4万3000人の町に建てられた新工場では現在、メリーランド州ボルチモア地下鉄向けの車両が組み立てられている。今後はワシントンやペンシルベニア州など、地下鉄車両の生産も控える。

総投資額1億ドル(約148億円)のうち、3000万ドル(約44億円)をデジタル投資に充てた新工場には、AI(人工知能)やデジタル技術を駆使した最新鋭の設備などが取りそろえられている。

2021年に約1兆円で買収した、アメリカのデジタルエンジニアリング会社・グローバルロジックや、AIを活用したコンサルティングなどを行う日立デジタル、送配電事業を手がける日立エナジーなどのグループ会社の技術を結集させている。まさに日立グループにおける戦略的工場だ。

新工場はこれまでと何が違うのか。4つのキーワードで見ていこう。

【写真】"映え"スポットもある日立の「ヘイガーズタウン工場」の全貌
次ページ工場内に「レール」がない理由
関連記事
トピックボードAD