国内敵なし、日立「鉄道売上高」今期1兆円超えへ ドーマー副社長インタビューで判明した全軌跡

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日立 Alistair Dormer vice president
日立製作所のアリステア・ドーマー副社長(撮影:尾形文繁)
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日立製作所の鉄道事業の成長が著しい。4月26日に発表された2023年度の鉄道事業売上高は8561億円。前年度の7360億円から1201億円増えた。2010年度は1502億円だったので13年で約6倍に増えたことになる。

フランスの防衛・航空宇宙メーカー、タレスの交通システム事業買収も近々完了する見通しで、これを加えると2024年度の鉄道事業売上高は1兆円を超える見通し。東原敏昭会長は8年前に「2020年代の早い時期に売上高1兆円を目指す」と話していたが、実現の日が近づいた。

国内同業との比較では川崎重工業の鉄道車両事業が売上高1959億円で2位、3位以下は1000億円を下回り、日立は頭1つ抜き出る。成長の原動力は海外。2010年度の鉄道事業売上高に占める海外の比率は400億円に満たなかったが、今や売上高の8割超を稼ぐ。

副社長が語る鉄道事業発展の足跡

分野別の売り上げは車両製造が6割、信号システムや保守ビジネスが4割。同業他社は国内向け車両製造が売り上げの大半を占めるので、海外比率、事業構成のどちらを取っても他社とは見ている景色が違う。むしろライバルは海外勢。日立は中国中車、仏アルストム、独シーメンスと並ぶ世界大手の一角を占める。

そんな日立もかつては国内他社と同様、国内向け車両製造が鉄道事業の中心であった。国内は新規路線の開業が少なく、新たな車両の製造は既存車両の更新需要ばかり。国内向けに安住していてはいずれ尻すぼみ。成長機会は海外にしかない。他社がアメリカやアジア諸国に照準を定めた中、日立が目を付けたのは英国だった。

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