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ブレーキかかる札幌駅前再開発、JR北海道に新たな難題。建設コスト高と道内大型プロジェクトの頓挫を背景に解体工事も始まっていない惨状

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JR北海道が主体となって進める「北5西1・西2」開発は、まだ解体工事も始まっていない(筆者撮影)

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1987年4月の国鉄分割民営化から約40年。JR各社は事業、組織などさまざまな面で激変期を迎えている。北海道ではJR北海道が主体となって札幌駅前に大型再開発事業を進める計画だったが、逆風をまともにくらい、停滞を強いられている。その内実に迫る。

札幌駅直結の大型再開発プロジェクトにブレーキがかかっている。

JR北海道が主体となって進める「北5西1・西2」事業は、高さ200メートルを超える高層ビルが中核となる。これは現在道内で最も高い、駅北側の「ONE札幌ステーションタワー」(175メートル)を大幅に上回る高さとなる。この再開発ではほかにも、高級ホテルや商業施設、オフィス、バスターミナルなどが建設される。

仮囲いが設置された状態のまま2年が経過

JR北海道の「北5西1・西2」事業は、北海道新幹線の札幌延伸時期とされていた2030年度末より早くオープンし、新幹線駅開業時には本州からの玄関口として機能する青写真だった。ところが、コストの高騰などで着工への道のりは険しく、当初目指していた2028年度の開業を断念。商業棟(西2街区)を2030年度に、高層ビル(西1街区)を2034年度にそれぞれ遅れて開業すると今年3月に発表した。

7月にJR札幌駅南口周辺を訪れてみると、夏休みシーズンの観光客でにぎわう横で、地上11階・地下3階の施設がひっそりとたたずんでいるのが目に入った。2023年8月に閉館した商業施設「エスタ」だ。かつては百貨店のそごうが入居し、2001年以降はビックカメラやユニクロなどがテナントとして入り多くの客を集めたことで知られる。

このビルは当初計画では、閉鎖後すぐの2023年10月に解体に着手し、今ごろは後継ビルの建設が始まっているはずだった。だが、外側に仮囲いが設置された状態のまま2年が経過。内装の撤去、アスベスト除去を経て、2026年にようやく建物の本格的な解体が始まる見通しだ。

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