三井住友建、麻布台ヒルズ住宅750億円損失の深層 「日本一の高さ」の称号を求めた代償は大きすぎた

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麻布台ヒルズレジデンスB
2025年8月の竣工予定に向けて工事が進む「麻布台ヒルズレジデンスB」。施工業者の三井住友建設はこの工事で度重なる損失を計上している(記者撮影)

「とどのつまりは初動ミス。最初の段階でしっかり検証して、人材も投入して対応していれば、ここまで損失が大きくなることはなかった。悪い連鎖になってしまった」

準大手ゼネコン、三井住友建設のIR担当者はそう口にして肩を落とした。

三井住友建設は11月12日、現在施工中の国内大型建築工事で131億円の工事損失を計上すると公表した。それに伴い2024年度の最終損益は80億円の赤字になる見通しだ(従来は45億円の黒字予想)。2021年度から2年連続で最終赤字を出した後、黒字へ復帰したが、再びの赤字転落となる。

損失を計上した施工中の工事とは、タワーマンション「麻布台ヒルズレジデンスB」のことだ。2023年11月に開業した大規模複合施設「麻布台ヒルズ」(東京・港区)に隣接し、来年8月に完成予定。地下5階・地上64階建て、約260メートルという日本一の高さを誇る超高層マンションとなる。

「身の丈」を超えた工事

これまでにも大幅な工程遅延が生じており、度重なる損失を計上していた。2021年度に219億円、2022年度に315億円、2023年度に92億円。今回を含めた累計損失額は757億円に上る。

三井住友建設の最終損益の推移

関係者は一様に驚いている。「(工事の請負金額は600億円以上との見立てもあるため)売上高に匹敵するほどの金額が損失計上されたことになる」(中堅ゼネコンのベテラン社員)からだ。

「三井住友建設は『身の丈』を超えた工事を請け負った」。複数のゼネコン関係者はそう指摘する。

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