三井住友建、麻布台ヒルズ住宅750億円損失の深層 「日本一の高さ」の称号を求めた代償は大きすぎた
麻布台ヒルズのマンションは、大深度地下工事を伴う超高層建築物件で難易度が高い。そのため、「そもそもは麻布台ヒルズプロジェクトの主要施工業者であり、建築の名門として知られる清水建設の受注が自然な流れだった」(準大手ゼネコンの幹部)と言われる。
ただ、「高速道路や地下鉄がすぐ側で走っている、むちゃくちゃ難度の高い工事。清水は『ここはいいです(タワーマンションはいらないです)』と受注を見送ったようだ」(同)。
そこに飛びついたのが、三井住友建設だった。「当時は経営環境もいい状況で、経営トップも『いける』と判断したのだろう。『日本一の案件』という称号も欲しかったのかもしれない。会長・社長案件として、検討不足のまま進められた」(三井住友建設のIR担当者)。
マンション工事では過去にもトラブル
「超高層マンションに強い」と定評のある三井住友建設だが、実のところ、建築工事において過去に何度かトラブルを起こしている。
もっとも波紋を広げたのは、2015年に横浜市の新築で起こした「傾きマンション」問題だ。基礎杭が支持層(マンションを支える固い地盤)に達していないことや施工データの改ざんが発覚。全棟の建て替えを強いられた。
この件をめぐっては、発注者の1社である三井不動産レジデンシャルから、三井住友建設と杭施工会社2社が建て替え費用等のおよそ500億円の訴訟を提起されている(現在も訴訟中)。
麻布台ヒルズのマンションで「背伸び」をした受注の代償は大きかった。
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