有料会員限定

【国が2兆円支援】半導体ラピダス「2ナノ試作成功」の期待と不安…異例のスピードで実現もビジネスは別?“ビヨンド2ナノ開発”でも問題浮上

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

有料会員限定記事の印刷ページの表示は、有料会員登録が必要です。

はこちら

はこちら

縮小
ラピダスの東哲郎会長、小池淳義社長、鈴木直道・北海道知事、横田隆一・千歳市長
ラピダスは2ナノ半導体の試作ウェハーを披露した。左からラピダスの東哲郎会長、小池淳義社長、鈴木直道・北海道知事、横田隆一・千歳市長(写真:ラピダス)

「みんな寝ないで立ち上げを行った。“魂のロット”と呼んでいる」

7月18日に北海道千歳市で会見を開いた、国策半導体会社のラピダス。半導体の製造受託専業として2022年に設立され、2027年に現在の最先端品「2ナノ」世代の半導体の量産を目指している。これまでに経済産業省から受けた支援額はおよそ2兆円に上る。

今回の会見には、同社の小池淳義社長や東哲郎会長が出席。小池社長が“魂のロット”と呼んでいた初回ロットの試作が終わり、出来上がった試作品がお披露目された。

千歳工場が竣工し、主要な製造装置の搬入を始めたのは昨年12月末。4月から製造ラインを立ち上げ、7月中旬には試作品完成までこぎ着けた。「前例のないスピードで、世界中から注目が集まっている」(東会長)。

今回の発表内容は、2ナノ世代での「トランジスタの動作確認」だ。ラピダスの発表から、2027年量産に向けての現在地をどのように見ればよいのか。多くの業界関係者は「まずはひと安心。だがここから先がとても長い……」と受け止めている。

異例のスピードで「大きな一歩」

トランジスタとは、半導体チップの中に無数に詰め込まれている構成部品を指す。それぞれのトランジスタが電気のオンとオフを繰り返すことで、半導体チップが計算器として動作するようになる。

そして半導体の性能進化において不可欠な「微細化」により、このトランジスタをより小さく作れるようになる。動作速度が向上し、同じ面積により多くのトランジスタを詰め込むことができる。

例えば、現在の先端品には1ミリメートル四方というごく狭い範囲に、数億ものトランジスタが刻み込まれている。ラピダスの発表は、1つのチップを構成する数億のトランジスタのうち、「少なくとも1つが動作した」というものだ。

次ページはこちら
関連記事
トピックボードAD