
JR武蔵野線と西武池袋線が2028年度をメドに直通運転を実施する方向で、JR東日本と西武ホールディングス(HD)傘下の西武鉄道が検討を進めている。両社の路線が直通運転するのは初めてのことだ。
西武HDの西山隆一郎社長は7月に実施した東洋経済のインタビューで、「毎日運行するような定期列車の直通運転でなく、例えば観光シーズンに限定して臨時列車を直通させるという方向で検討している」と語る。
JR東の喜勢陽一社長も、同じく東洋経済のインタビューでこう説明する。「これから新線を作るとなったらすごくお金がかかるし、用地買収も大変だ。既存のインフラをつなげることによって新しいルートが作れないか、いろいろな鉄道事業者とやってきた」。今回の直通運転は、既存のインフラをつなげる構想の一環というわけだ。
秩父と臨海部の双方向に臨時列車
きっかけとなったのが2020年12月に始まったJR東と西武鉄道の包括的連携だった。コロナ禍にあった当時はワーケーションに関連した協業が目立ったが、両社の駅や事業エリアが結節・近接する地点の活性化を目指すことも盛り込んだ。今回の直通運転の構想は、こうした両社の協業作業の中で生まれたものだ。
JR武蔵野線は鶴見(神奈川県横浜市)から西船橋(千葉県船橋市)まで、東京都心をぐるりと囲むように結ぶ100.6kmの路線だ。鶴見―府中本町間は貨物専用線となっている。

旅客列車の起点となる府中本町では日中、西船橋から京葉線に直通する南船橋行きと東京行きが交互に発車する。京葉線には東京ディズニーリゾートの玄関口である舞浜のほか、千葉ロッテマリーンズの本拠地「千葉マリンスタジアム(ZOZOマリンスタジアム)」最寄りの海浜幕張といった駅がある。
具体的なルートの検討はこれからだが、直通運転が実現すれば観光客に人気の秩父と臨海部、双方向に臨時列車を走らせることもできる。
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