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JR西日本の倉坂新社長が語る「大阪・関西万博の効果」「再開発の余地」「独自のデジタル戦略」「安全対策への誓い」

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倉坂昇治(くらさか・しょうじ)/1962年生まれ。京都大学卒業後、1985年日本国有鉄道入社。執行役員人事部長、福知山線列車事故ご被害者対応本部長などを経て2025年6月に代表取締役社長就任(写真:尾形文繁)

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1987年の国鉄分割民営化から約40年。JR各社は事業、組織などさまざまな面で激変期を迎えている。JR西日本は経営多角化の一環として、不動産事業やデジタル戦略の展開を加速する。今後の環境をどのようにとらえ、どのように企業の成長を図るのか。6月に就任したばかりのJR西日本の倉坂昇治社長に聞いた。

――足元では、大阪・関西万博の押し上げ効果は出ているのでしょうか。

大阪・関西万博による増収効果に関しては、想定通りに推移している。今第1四半期(2025年4~6月期)については、山陽新幹線の利用が堅調だった。

第2四半期(同7~9月期)に入ると、7月下旬の猛暑などの影響でやや落ち着いている。しかし、万博があるので(10月まで開催)、後半にかけて新幹線利用が再び盛り上がっていくとみている。

既存のショッピングセンター事業なども収益を押し上げる。昨年度に大阪と広島の大型の開発プロジェクトが開業したので、それが今2026年3月期にフル寄与する。ほかの既存の賃貸ビルなども収益を押し上げる。

広島駅では今年8月3日に、駅前大橋ルートが開業した。これは駅ビルの2階に広島電鉄の路面電車が乗り入れるもので、駅ビルの2階以上に高架で路面電車が乗り入れるのは全国で初めてだ。

生産性向上への投資を推進

――この先の経営環境をどのようにみていますか。

人口減少は、顧客と働き手の両方に影響するので非常に厳しい。また、災害が激甚化し、地球規模の気温上昇といった問題も深刻化している。

一方で、AIやセンサー技術といったイノベーションは著しく発展している。これらの技術をうまく活用し、人口減少や働き手不足に対応するため、生産性向上への投資やデジタル技術の開発を進めていく。

顧客へのアプローチとしては、BtoC事業に加え、BtoBやBtoG(政府や自治体との事業)を強化している。地方政府や国と連携し、当社が役に立てるような材料を揃え、積極的にご提案していく局面だと考えている。

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