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〈本社幹部に直撃〉ZARAはなぜ「世界一のアパレル企業」を独走できるのか? マスコミ露出を嫌う創業者は1980年代から"後継者リスク"を考えていた

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ラウル・エストラデラ(Raúl Estradera)/スペインの国営持ち株会社SEPIなどでキャリアを積んだ後、2000年にインディテックス入社。コミュニケーション副部長として株式上場準備に携わる。15年~22年にかけて、インディテックスのオーナー創業者であるアマンシオ・オルテガ氏が率いる持ち株会社と財団で広報業務を担当。22年から現職(撮影:ヒラオカスタジオ)

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世界最大のアパレル企業、インディテックスが展開するファッションブランド「ZARA」。世界に2100店舗超を構える巨大ブランドの1号店はちょうど50年前、スペイン北西部のア・コルーニャで生まれた。
創業者のアマンシオ・オルテガ氏(89)は顧客の情報をつねに吸い上げることを重視し、その要望に合った新商品を高速投入していくビジネスモデルを構築。2011年には会長職を引退し、経営の第一線から退いた。一方で現在も同社株の約6割を保有し、ヨーロッパ屈指の富豪としても知られる。
インディテックスの前期売上高は約386億ユーロ(約6.87兆円)、足元の時価総額は約1500億ユーロ(約27兆円)に達し、業界2位のH&Mやファーストリテイリングを大きく引き離す。海辺の町の小売店が世界首位のアパレル企業へと成長を遂げた秘訣、そしてマスコミへの露出を嫌ってきたオルテガ氏の素顔とは。インディテックスグループのグローバルコミュニケーションオフィサーを務めるラウル・エストラデラ氏に聞いた。

創業時から追求してきた効率経営

――ZARA誕生から50年、売上高でも時価総額でも世界一のアパレル企業の地位を固めています。競争優位性をどう築いたのでしょうか。

50年前、アマンシオ・オルテガ氏が小さい店から始めたときに彼が考えたのは、小売業に変化をもたらしたい、昔ながらの商売の形ではなく、顧客のニーズ、市場の変化に沿った新しい商売にしたい、ということでした。

商売の中でも効率、レベルの高さを追求し、この努力のおかげで当時から売れ残り品はごくわずかでした。デマンド、ニーズがあるところに合わせて品物を提供していく効率的な体制が、ビジネスの成長につながってきました。

商売がうまくいくと、その利益を投資に向けました。コレクションを作るデザインチームには最良の条件で働いてもらう。物流ネットワークも充実させて、顧客のいるところに的確に品物を届けるサービスを心がけ、テクノロジーの導入にもお金を使いました。原材料も、早くから持続性のある環境負荷の少ないものを使ってきました。

私たちのこの努力を顧客に認めていただいて、商品価値、企業価値がさらに上がっていった。まとめると、お客様の声に絶えず耳を傾けること、それがビジネスの向上につながり、ネットワークが強化されて、世界一の企業になったと言えると思います。

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